プリズマジャーナルTOP「北欧、暮らしの道具店」はなぜ強い、クラシコムの目指す「ライフカルチャープラットフォーム」とは? 〜11/11開催オンラインセミナーレポート〜

「北欧、暮らしの道具店」はなぜ強い、クラシコムの目指す「ライフカルチャープラットフォーム」とは? 〜11/11開催オンラインセミナーレポート〜

# 購買行動 # LTV # 顧客エンゲージメント # コンテンツパブリッシング # プラットフォーム

2022年11月11日、プリズマティクス CEO 濱野 幸介がモデレーターを務めたオンラインセッションにて、「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコム代表取締役社長 青木耕平氏をお迎えし、「『北欧、暮らしの道具店』はなぜ強い クラシコムの目指す『ライフカルチャープラットフォーム』とは?」と題してお話し頂きました。

本レポートでは、『ユナイテッドアローズ・北欧、暮らしの道具店・無印良品が描く未来 顧客に寄り添うコミュニケーション戦略』と題し行ったセミナーのうち「特別講演2」の内容をご紹介。併せて、“見逃し”してしまった方へ向け、動画アーカイブ配信をご案内します。

1.「ライフカルチャープラットフォーム」がビジネスの源泉

クラシコムは自社が行っている事業「北欧、暮らしの道具店」を「ライフカルチャープラットフォームである」と位置付けています。これはクラシコムがつくった言葉で、顧客との関係維持にライフカルチャー(世界観)が大きく関わってくる、ユニークなプラットフォームです。

「専業のイーコマースであれば、最初の顧客との出会いは広告で演出されて、そこから初めてのお買い物がありますよね。我々の場合は、今のお客様と未来のお客様が好きそうなコンテンツを大量に発信して、顧客との最初の出会いは『コンテンツを楽しむ』というところで発生していて、そのコンテンツを楽しみたい方にフォローやダウンロードするなどでエンゲージメントして頂く。そうすると毎日のようにコンテンツが届くので、届くたびに購買動機形成のきっかけが発生するということです」(青木氏)

購買行動が起点となる通常のCRMとは全く異なる、コンテンツパブリッシングからのCRMで、顧客との関係維持を行っているクラシコム。メルマガ会員、SNS、アプリ、などのエンゲージメントが強いアカウント数は約560万件、そのうち年間の購入者数は18〜19万人とのこと。

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クラシコムではこの独自のプラットフォームを「温泉」に見立てたイメージをしているそうです。「この“ライフカルチャー”という温泉をこんこんと湧き出させることが、すべての力の源泉。そこに魅力的な温泉があれば、そこに様々なチャネルが繋がり、人が集まって、ホテルの事業機会、飲食店の事業機会、お土産屋さんの事業機会など生まれますよね」と青木さんは語ります。

クラシコムの事業スタート時からこのような絵が見えていたわけではなく、日々の課題に向き合っていく中で、徐々にこのような形になっていったとのこと。上記の図は2022年8月に株式上場するというプロセスの中で「クラシコムとは何か」を表現するにあたり、今持つ世界観を改めて見つめ直した結果とのこと。詳しいエピソードは動画アーカイブにてご覧ください。

2.何でもトライし、受け入れられたコンテンツを伸ばしていく

コンテンツ配信を軸としたプラットフォームをビジネスの軸とするクラシコム。濱野から「コンテンツパブリッシングについては、以前から一貫してやっておられるなと思いますが、どうしてそれをやろうと決めたんでしょうか」と質問すると、「マーケティングの4P(プロダクト、プレイス、プライス、プロモーション)を、完全に掌握したいんです」という強い意志を感じる回答が返ってきました。

「他社との付き合いの都合、取引関係、資本関係などの都合ってありますよね。何をつくるか、いくらで売るか、どこで売るか、どういうプロモーションをするのか。これを他社に支配されたくないんです。僕はこれを“尊厳あるビジネス”って言ってるんですけど、それをやろうと思った時に、顧客の創造を他社のプラットフォームに依存していると、全部支配されてしまう。需要側は、お客様を惹きつける根源を自分で創造しなければならないんです」(青木氏)

とは言っても、「人を惹きつけるコンテンツ」をつくり続けていくのは大変なことです。濱野から「お客さまのニーズの満たし方について、何か伺えることはありますか」と聞くと、青木氏は「うーん、そうですね…」と少し考えた後、「とにかく、なんでもやるということですね」とコメントしました。

「見ていただければ分かると思うんですが、ジャンルも本当に全ジャンルやっていますし、メディアもweb、アプリ、SNS、podcastなど代表的なコンテンツパッケージはほとんどやっています。映画、アニメもつくりましたし。自分たちでやったことないのって、ゲームだけなんですよ。自分たちのお客様が好きそうなものであればリソースの範囲内で全部トライして、受け入れられたものを伸ばしていくということですね」(青木氏)

3.クラシコムのコンテンツ制作、メディア運営の“リアル”は、動画アーカイブで視聴可能

コンテンツパッケージ、メディア、ジャンルなど、顧客へのタッチポイントについては「お客さんのいるところに、行く」(青木氏)と言い切るほど柔軟に動くクラシコムですが、その核となる思想には芯を通し、“やらない”と決めていることがあると言います。

「うちのECには、“売れ筋ランキング”が無いんです。自分自身の持ち物に、自分自身で満足すること、他人がどう思っているかは関係なく、自分自身が好きなコンテンツにフォーカスして欲しい。クラシコムがそう思っていることが、伝わればいいなと。だから、他人がどう思っているかという情報は、あれば売れるのは分かっているんですが、つけていません」(青木氏)

濱野から、「Twitter、Facebook、Instagramなど色々なエンゲージメントプラットフォームがある中で、それぞれのSNSの“ちょうど良いタイミング”に合わせて使われていますよね。使い方について何か工夫はありますか」と質問すると、「プラットフォームの研究とか一切したことないんですよ」とコメントしつつ、「爆発的にユーザーが増える直前、良いタイミングに仕込めていたな、というのはあります」と振り返りがありました。

クラシコムのチャネルに対する向き合い方、コンテンツ制作、メディア運営の息の長い取り組みについては、成功体験だけでなく、停滞期のお話、リアルタイムの今まさに取り組み始めたものの感触まで、セミナーで具体的なエピソードをたくさんご紹介頂いています。

本セッションの全編は、プリズマティクスの「動画閲覧」にて全編を無料アーカイブ動画として配信中です。下記バナーの動画閲覧ページよりお申し込み頂き、濱野と青木氏の“実務者”としての足跡を感じられるトークをお楽しみください。

本オンラインセミナーは、プリズマティクス株式会社、クラスメソッド株式会社の共催、Braze株式会社の協力にて、顧客とのコミュニケーションについて先進的な取り組みを行っている企業様にお集まり頂き、開催致しました。

プリズマ編集部

「the engagement commerce platform for wow! experiences」をコンセプトに、小売業における顧客エンゲージメント向上の支援、戦略的OMOを実現するプラットフォーム提供を行うプリズマティクス株式会社が運営する、オウンドメディア『プリズマジャーナル』編集部。

『プリズマジャーナル』では、プリズマティクスで活躍するコンサルタントが執筆するコラム「徒然ジャーナル」、業界の先端を走り続けるプリズマティクスアドバイザーからの寄稿文など、小売業の皆様に向けて伝えたいこと、耳寄りな情報などをお送りします。

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