プリズマジャーナルTOPパル×ゴンチャ登壇|事例で学ぶ2025年顧客体験の最前線。デジタル・AI時代のLTV向上戦略とは?
パル×ゴンチャ登壇|事例で学ぶ2025年顧客体験の最前線。デジタル・AI時代のLTV向上戦略とは?

パル×ゴンチャ登壇|事例で学ぶ2025年顧客体験の最前線。デジタル・AI時代のLTV向上戦略とは?

デジタル・AI時代の到来で、企業と顧客の関係は大きな転換期にあります。2025年、ブランドはいかに独自のCXを築き、LTVを高めるべきか。本記事では、アパレルのパルと飲食のゴンチャによる対談セミナーをレポート(※)。SNS・アプリ・店舗の役割定義から、データ活用による意思決定まで、業態を超えて共通する「顧客エンゲージメント」の本質と最新事例を凝縮してお届けします。

(※)プリズマティクスセミナー「事例で学ぶ!顧客体験の最前線~デジタル・AI時代の顧客接点とロイヤルティプログラムの再考~」にて、株式会社パル 取締役専務執行役員 堀田 覚氏、株式会社ゴンチャ ジャパン Gong cha 2.0 推進部 部長 栗田 栄一氏にご登壇いただいたパネルディスカッションセッションの内容をご紹介した記事です。モデレーターはクラスメソッド株式会社 取締役/プリズマティクス株式会社 代表取締役 CEO 濱野 幸介が務めました。

1.顧客接点とロイヤルティに関するパネルディスカッション——両社の現在地と今後の展望

SNS・アプリ・LINE・店舗の役割比較——パルとゴンチャの戦略的位置づけの違い

業種・業態の違いによって、各チャネルの役割は大きく異なります。パルとゴンチャのチャネル戦略の違いを整理すると以下のようになります。

チャネル パル(ファッション小売) ゴンチャ(飲食)
SNS 最大の新規顧客獲得チャネル(Instagram/TikTok中心) ブランド認知拡大の役割
ネイティブアプリ エンゲージメント強化の中心、EC売上の60%以上 まだ展開段階には至らず
LINEミニアプリ ネイティブアプリのライト版・補完的役割 モバイルオーダー・会員証の主要基盤
店舗 LTV最大化のカギ、ウィンドウショッピングの役割 最大の顧客接点、お渡し体験が全て
モール(EC) 新規顧客認知・集客(ZOZOTOWNなど) 限定的(福袋EC展開などに活用)

接客時間の長いファッション業態ではネイティブアプリのハードルが低く、短時間での接客が前提のカフェ業態ではLINEやモバイルオーダーのほうが現実的であることが、両社の比較から見えてきます。

顧客エンゲージメントを高める鍵—「EC×店舗」の複合体験がLTVを左右する

ディスカッションを通じて浮かび上がったのは、「EC単体でも店舗単体でもなく、両方の接点を持つお客様がもっともLTVが高い」という共通認識でした。事前にWebで目星をつけてから来店するという行動が一般化している今、EC・SNSでの接点がないと店舗への来店動機が失われます。

一方で、EC体験だけでは深いエンゲージメントが生まれにくく、一度購入しただけで終わるリスクがあります。パルのEC化率を50%以上に高めることには慎重な見方が示されており、デジタルビジネスのボラティリティの高さを踏まえた上で、店舗とECが「並走」する形が最も安定したビジネスモデルだという結論が導き出されています。

AI活用の現在地—バーチャルフィッティングから商品説明文生成まで

AIの活用については、両社とも「まだ発展途上」というのが正直なところです。パルでは「自分の顔写真を合成してバーチャルフィッティングができる機能」「自分の体型・骨格に近いスタッフコーディネートの表示」などを実装しており、利用者の満足度はそれなりに高いものの、文化として定着するまでには至っていません。また、商品説明文の生成補助などのテキスト系AIは比較的使いやすく、活用が進んでいます。

ゴンチャではAI活用はまだ着手段階で、モバイルオーダーやセルフレジでの過去購買履歴に基づくレコメンド・サジェスト機能の実装が今後の課題として挙げられています。画像生成AIは確認・修正コストが高く、目視チェックの難しさが活用の障壁になっているという現実的な課題も共有されました。

両社が描く今後の顧客接点改善の方向性と取り組みたい課題

パルは、SNSによる新規顧客獲得は順調な一方で、「リピートしてもらうためのLTV向上施策の分析精度」がまだ不十分だという認識を持っています。会員数が1200万人を超えてきた今、日本の20〜40代の人口と照らし合わせると市場の一点に達しつつあるという感覚もあり、「一度接点を持ったお客様を気持ちよく継続してもらう仕組み」のさらなる強化が次の優先課題です。

ゴンチャは、まず会員数のさらなる獲得フェーズを継続しながら、顧客データの蓄積と正しいインサイトの抽出に力を入れていきます。また、上位ステージ会員向けの「非金銭的インセンティブ」—たとえばイベント招待などの特別感ある体験—を充実させ、ブランドとの情緒的なつながりをさらに深めていくことが今後の展望として語られました。

2.業種を超えた共通課題—店舗とスタッフが果たす不変の役割

ファッション小売とカフェで異なる「スタッフ接点」の進化の方向性

パルでは、スタッフのSNS発信が接客の延長線として機能するようになっており、「SNSが上手いスタッフは接客も上手い」という形で、デジタルとリアルの接客が一体化してきています。伝える力と物を作る力の両方が揃って初めてビジネスが成立するという考え方に基づき、スタッフの「伝える力」への投資が続いています。

一方ゴンチャでは、モバイルオーダーとセルフレジの普及によってレジ接客という従来の主要接点がなくなりつつある中、「商品のお渡し」の瞬間に接客エネルギーを集中投下するというモデルへと転換しています。NPSデータとの相関分析によって、お渡し体験の質が店舗全体の満足度と売上に直結することが実証されており、オペレーションの効率化と人的接点の最大化を同時に追求しています。

モール・SNS・自社ECそれぞれの役割分担と「人のふんどし」戦略の活用

「SNSとモールは人のふんどし—そこには大量の人がいるから、まず知ってもらう接点として積極的に活用する」ということがパルの基本認識です。しかしその先、深いエンゲージメントと継続的な購買関係を築くためには、自社EC・アプリ・店舗という自社コントロール可能なチャネルへと顧客を引き込むことが不可欠です。

ZOZOTOWNで商品を知り、店舗で実際に試着し、自社アプリでリピート購入する—この多段階の「顧客深化プロセス」を意図的に設計することが、パルの成長を支えてきたエンジンです。ゴンチャも同様に、LINE経由での認知から店頭での体験、My Gong Chaでのデジタル連携という導線を整備することで、顧客との関係を段階的に深めていく戦略を取っています。

「データは正解を提示してくれる」—デジタル経営が変える意思決定の質

両社のディスカッションを通じて一貫して強調されていたものが、データドリブンな意思決定の重要性です。「声の大きい人が勝つ」という感情的・経験則的な判断をデータで上書きできることが、デジタル時代の組織経営の醍醐味だとパルは語ります。ABテストで客観的な優劣を示せるようになったことで、ブランドマネージャーとの意見調整もスムーズになっています。

ゴンチャも、My Gong Chaのローンチによって全チャネルの購買データが統合されたことで、「本当は店頭に頻繁に来ているのにモバイルオーダー未利用のためにクーポンを送り続けていた」という誤ったコミュニケーションを正せるようになりました。正しいデータが取れて初めて、正しいアクションが打てる—この当たり前のことを実現するためのデジタル基盤への投資が、両社共通の重要課題として浮かび上がっています。

3.まとめ

今回は、プリズマティクスセミナー「事例で学ぶ!顧客体験の最前線~デジタル・AI時代の顧客接点とロイヤルティプログラムの再考~」にて、株式会社パル、株式会社ゴンチャ ジャパンにご登壇いただいたパネルディスカッションの内容をご紹介しました。

尚、株式会社パル、株式会社ゴンチャ ジャパンのセッションレポートもございます。是非ご覧ください。

 
プリズマティクスは、SaaS/PaaSの『fannaly』をベースに、ポイント、クーポン、顧客基盤、認証基盤、ECサイト、モバイルオーダー、スマホレジ、など様々な接点を繋ぐコンサルティング、プラットフォーム、導入・開発を提供し、顧客体験の進化を伴走します。お気軽にお問い合わせください。

プリズマ編集部

「the engagement commerce platform for wow! experiences」をコンセプトに、小売業における顧客エンゲージメント向上の支援、戦略的OMOを実現するプラットフォーム提供を行うプリズマティクス株式会社が運営する、オウンドメディア『プリズマジャーナル』編集部。

『プリズマジャーナル』では、プリズマティクスで活躍するコンサルタントが執筆するコラム「徒然ジャーナル」、業界の先端を走り続けるプリズマティクスアドバイザーからの寄稿文など、小売業の皆様に向けて伝えたいこと、耳寄りな情報などをお送りします。

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