会員数100万人を1ヶ月で達成!驚異の集客力を誇る「ゴンチャ」の新ファンプログラムに迫ります。紙のスタンプカードを廃止し、データ統合で実現した「顧客をがっかりさせない」設計とは?LTV向上を目指す次世代のデジタル戦略を紐解きます。
本記事では、プリズマティクスセミナー「事例で学ぶ!顧客体験の最前線~デジタル・AI時代の顧客接点とロイヤルティプログラムの再考~」にて、株式会社ゴンチャ ジャパン Gong cha 2.0 推進部 部長 栗田 栄一氏をお迎えしたセッション内容にフォーカスしてご紹介します。
顧客理解やパーソナライズなコミュニケーション施策の企画について実践的知識・スキルを得たい方、ロイヤルティプログラムなど会員増加のための具体的な施策を検討している方、AI時代ならではの顧客接点について、海外を含めた最新事例を知りたい方のご参考になれば幸いです。
【栗田 栄一氏プロフィール】
1979年生まれ。株式会社ドトールコーヒーに新卒入社し、カフェ・レストラン・BARなどの新業態立ち上げやバリスタ育成、主要ブランドのリブランディングを手がける。2018年11月より株式会社ゴンチャ ジャパンに参画し、営業部長・オペレーション開発部長を歴任。2023年3月からはGong cha 2.0推進部長として、顧客体験価値の創造とオペレーションDXを推進。
目次
1.ゴンチャジャパンのファンプログラム「My Gong Cha」誕生の背景と設計哲学 2.My Gong Chaの制度設計—「がっかりさせない」を最優先にしたプログラム構造 3.U22割とクルー制度——「がっかりをなくす」体験設計の具体的な実例 4.My Gong Chaのローンチ成果と見えてきた新たな顧客像 5.最後に1.ゴンチャジャパンのファンプログラム「My Gong Cha」誕生の背景と設計哲学
年間3000万人来店・タピオカブーム超えの成長を続けるゴンチャの現状
ゴンチャは2006年に台湾で誕生し、現在世界30カ国以上に展開するグローバルティーブランドです。日本国内では204店舗を展開し、10代・20代を中心に強い支持を得ています。
年間来店数はタピオカブーム当時を超え、現在3000万人以上を記録しています。これはある人気アミューズメントパークの年間来場者数に匹敵する規模です。さらにゴンチャジャパンでは、2028年までにこのファン数を倍にするという中期目標を掲げています。
「呼び込む・飲み込む・囲い込む」という顧客戦略の3ステップと2028年目標
ゴンチャが顧客との絆を深めるために設計したものが「呼び込む・飲み込む・囲い込む」という3段階の顧客戦略です。SNSやPRによるブランド認知拡大が「呼び込む」にあたり、より良い店舗体験の提供が「飲み込む」にあたります。そして2028年の目標達成に向けて新たに強化したものが「囲い込む」—ファンになったお客様との長期的なパーソナライズコミュニケーションの構築です。
これまでは商品力の強化・スタッフ育成・DXにフォーカスしてきましたが、さらなるファン数の拡大に向けて、月1回以上来店してくれる「ファン層」を増やすことをKPIに設定し、ロイヤルティプログラムの開発に着手しました。

ファンプログラム導入前に存在した3つの大きな課題
ファンプログラムの開発にあたって、ゴンチャが抱えていた課題は大きく3つありました。
| 課題 | 内容 |
| 顧客エンゲージメントの向上 | ファンとの継続的な関係を構築する仕組みがなかった |
| 購買情報の収集 | 紙のスタンプカードのため、誰が何を買ったかが把握できていなかった |
| ポイントプログラムの統合 | モバイルオーダー用と店頭用で特典・仕組みが異なる2種類が並存していた |
特に深刻だったことが購買情報の分断です。モバイルオーダーでは購買履歴が見えていましたが、店頭レジ・セルフレジでは紙のスタンプカードのため、来店頻度も購買内容も把握できていませんでした。「モバイルオーダーで見えている情報だけが全て」という状態では、正確な顧客理解は不可能でした。
2.My Gong Chaの制度設計—「がっかりさせない」を最優先にしたプログラム構造
100円=1リーフのポイント設計と全チャネル共通化による体験統一
ゴンチャのファンプログラム「My Gong Cha」では、購買金額100円につき1リーフが付与されます。店頭購入でもモバイルオーダーでも同じリーフが貯まる仕組みになっており、これがポイントプログラム2種類並存問題の解消につながりました。
貯まったリーフはデジタルチケットに交換でき、トッピングフリーやドリンクフリーのほか、ゴンチャのオリジナルグッズとも交換可能です。コアファン層がゴンチャのグッズを収集することへの喜びを持っていることが調査で判明しており、リーフを貯めるモチベーション設計にグッズが有効に機能しています。
「ステージは絶対に下げない」LTV評価型の長期関係構築という革新的設計
My Gong Chaのステージ設計で最も特徴的なのは、「ステージダウンを一切しない」という方針です。一般的なロイヤルティプログラムでは、一定期間内の購買金額によってステージが毎年リセット・降格することが多いですが、ゴンチャではLTVで評価し、期間制限を設けていません。
「1年・2年来店実績がなくてもステージは下がらない」—これは、さまざまな事情でゴンチャから足が遠のいてしまっても、過去たくさんの設定を積み上げてきた大切なお客様をいつでもウェルカムで迎えるという思いを込めた設計です。この「長期的関係構築」への強い意志が、他社との差別化ポイントになっています。
会員移行時の「がっかり」を徹底排除した早期入会キャンペーンの設計
新プログラムへの移行においてゴンチャが最も気を遣ったことが、「既存会員をがっかりさせない」ことでした。特に50回以上モバイルオーダーを利用していたアンバサダー会員(ゴールド会員)を大切にするため、移行時にはステージを引き継ぎ、さらに250リーフ(ドリンク3杯分に相当)をプレゼントするキャンペーンを実施しました。
また、既存のモバイルオーダーを利用するたびにMy Gong Chaへの入会導線を設置し、以降の注文ではそのまま会員として購買が記録される仕組みにしました。これにより、ハレーションを最小限に抑えながら、既存会員の全員移行という成果を実現しています。

3.U22割とクルー制度——「がっかりをなくす」体験設計の具体的な実例
学生証提示から年齢認証デジタル化へ——U22割リニューアルの経緯
ゴンチャではもともと「学割」サービスを提供していましたが、学生証の提示が条件だったため、同じ20歳でも学生とそうでない人とで扱いが異なるという不公平さが生じていました。「若者を応援したい」という目的に対して、学生かどうかは本質的な条件ではないという判断から、「U22割」として22歳以下を対象に年齢認証でサービスを受けられるようリニューアルしました。
My Gong Chaの会員証に登録した生年月日で年齢認証が完結するため、店頭での学生証提示が不要になりました。セルフレジでのバーコードスキャンでU22対象かどうかの判定ができ、モバイルオーダーでも22歳以下かどうかを識別してメニュー表示を切り替える機能を実装しています。これにより、チャネルを問わず公平かつスムーズなサービス提供が実現しました。
卒業したスタッフも「ゴンチャフレンド」として繋ぎ続けるクルー割設計
ゴンチャでは店舗で働くスタッフを「クルー」と呼び、全国のフランチャイズ店も含めたクルーが会員証を提示すると20%オフの割引が適用される「クルー割」を設けています。しかし従来の制度では、卒業して社会人になったOGOBがこの特典を使えなくなるという「がっかり」を生んでいました。
この問題を解消するため、OBOGも「ゴンチャフレンド」としてMy Gong Chaに登録し、フレンド用の会員証でサービスを継続して受けられる仕組みに変更しました。店頭でフレンド会員証を提示することで、現役クルーと元クルーの間に自然なコミュニケーションが生まれ、ブランドとの継続的な繋がりが維持されます。これが長期的な顧客関係構築の重要な一手となっています。
4.My Gong Chaのローンチ成果と見えてきた新たな顧客像
当初計画を大幅に上回るー1ヵ月で100万人突破の要因分析
My Gong chaは2025年5月にローンチし、1ヵ月で100万人の会員を獲得しました。当初計画を大幅に上回る成果となりました。セミナー後の2026年1月では、約260万人まで会員を増やしているようです。
この急速な会員獲得を支えた要因は主に2つあります。第一に、既存のモバイルオーダー会員—特に利用頻度が高いファン層—への丁寧なアプローチで、250リーフのプレゼントと個別LINEでのリマインドが大きく効きました。第二に、既存モバイルオーダーアプリからの導線設計により、ローンチ以降の注文時に自然にMy Gong Chaへ誘導されるプロセスを設けたことです。
全チャネルの購買情報が統合されて初めて見えた「本当の顧客像」
ローンチ前はモバイルオーダーの購買データしか見えていませんでしたが、My Gong Chaの導入によって全チャネルの購買行動が一元把握できるようになりました。これにより、「モバイルオーダーで3ヶ月未利用の方にクーポンを送ったが、実は店頭には頻繁に来ていた」という、これまで気づけなかったコミュニケーションのズレが明らかになりました。
また、会員ステージ別の分析では、最上位の「レジェンド会員」が1ヶ月に何十回もゴンチャを利用していることが判明し、社内でも驚きをもって受け止められました。「見えていなかったものが見えるようになった」こと自体が、まず大きな成果として評価されています。今後はこのデータを積み上げながら、インサイトを深め、正しいコミュニケーション施策へと繋げていくフェーズとなります。
5.最後に
今回は、プリズマティクスセミナー「事例で学ぶ!顧客体験の最前線~デジタル・AI時代の顧客接点とロイヤルティプログラムの再考~」にて、『開始1か月で100万人突破!ゴンチャのファンプログラム「My Gong cha」による顧客との絆の深め方』というセッションタイトルで栗田氏にご登壇いただいた内容をご紹介しました。
尚、クラスメソッドおよびプリズマティクスは、小売企業が抱える様々な課題に対し包括的に支援します。今回のセミナーにご登壇いただいた株式会社ゴンチャ ジャパン様の支援事例記事も公開しております。

また、今回のセミナーにて、株式会社ゴンチャ ジャパンと共に登壇された株式会社パルのセミナーレポートも公開中です。あわせてご覧ください。

「the engagement commerce platform for wow! experiences」をコンセプトに、小売業における顧客エンゲージメント向上の支援、戦略的OMOを実現するプラットフォーム提供を行うプリズマティクス株式会社が運営する、オウンドメディア『プリズマジャーナル』編集部。
『プリズマジャーナル』では、プリズマティクスで活躍するコンサルタントが執筆するコラム「徒然ジャーナル」、業界の先端を走り続けるプリズマティクスアドバイザーからの寄稿文など、小売業の皆様に向けて伝えたいこと、耳寄りな情報などをお送りします。
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