顧客ロイヤルティの向上は、リピート率の低下、顧客離れの増加など、多くの企業が直面する課題を解決する方法の1つです。
とはいえ、単なる顧客満足度の向上以上に複雑で多面的なアプローチが必要なことから、重要性は理解していても、具体的な戦略や実践方法がわからず、悩んでいる人も少なくないでしょう。
そこで今回は、顧客ロイヤルティの本質と、それを高めるための効果的な戦略について詳しく解説します。
顧客との長期的な関係構築に悩む企業担当者やビジネスオーナーには役立ちますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.顧客ロイヤルティとは? 2.顧客ロイヤルティが注目されているのはなぜ? 3.顧客ロイヤルティを高めるメリットは? 4.顧客ロイヤルティを計測するための指標は? 5.顧客ロイヤルティを高める戦略方法とは? 6.顧客ロイヤルティを高めた事例を紹介 7.顧客ロイヤルティ向上の実現施策に、会員・クーポン・ポイント管理システム「fannaly(ファンナリー)」1.顧客ロイヤルティとは?
顧客ロイヤルティとは、顧客が特定の企業やブランドに対して抱く忠誠心や愛着のことです。単なるリピート購買に限らず、顧客が自ら企業やブランドを支持し、長期的な関係を維持しようとする傾向を指します。
顧客ロイヤルティを構築するには、優れた製品・サービスの提供、一貫した顧客体験、効果的なコミュニケーション、そして顧客の期待を超える価値を提供しなければなりません。
とはいえ、失敗しないためにも、施策を打ち出す前に以下3つの観点から顧客ロイヤルティの本質を深く理解しましょう。
1.ロイヤルティとロイヤリティとの違い
2.顧客満足度との違い
3.顧客エンゲージメントとの違い
ロイヤルティとロイヤリティとの違い
マーケティングにおける「ロイヤルティ」と「ロイヤリティ」は同じ意味を持ち、発音の表記揺れによるものです。
しかし、「ROYALTY」と「LOYALTY」は意味が異なります。
「ROYALTY」は特許権や著作権などの使用料を指し、例えば「ロイヤリティフリー」は使用料が無料であることを意味します。一方、「LOYALTY」は忠誠心や愛着を意味し、従業員ロイヤルティや顧客ロイヤルティなど、ブランドや企業への忠誠度を表します。つまり、ロイヤルティ(LOYALTY)は愛着や忠誠心を示し、ロイヤリティ(ROYALTY)は使用料を示すという違いがあります。
顧客満足度との違い
顧客ロイヤルティと顧客満足度は、密接に関連していますが同一ではありません。
顧客満足度は、顧客の期待と実際の体験との差異を測る指標です。一方、顧客ロイヤルティは、その満足度を超えて顧客が特定のブランドや企業に対して持つ長期的な愛着や信頼を表します。例えば、ある商品に満足しても、次回は別のブランドを試すかもしれません。
しかし、ロイヤルティの高い顧客は、たとえ他の選択肢があっても、特定のブランドを継続的に選び続けます。このため、CRM戦略では単なる満足度向上だけでなく、より深い顧客との絆を築くことが求められます。
顧客エンゲージメントとの違い
顧客ロイヤルティと顧客エンゲージメントもしばしば混同されますが、その本質は異なります。顧客エンゲージメントは、顧客が実際に行う商品の購入や利用などの行動から、その親密度を示します。
英語の「engagement」には婚約や約束の意味がありますが、日本のビジネスシーンで使われる場合は「顧客との親密度」を指します。顧客ロイヤルティは感情的な愛着心を評価するのに対し、顧客エンゲージメントは行動に基づく親密度を評価します。
高いエンゲージメントが必ずしも高いロイヤルティにつながるわけではありません。顧客との接点を増やすだけでなく、その接点を通じて信頼と愛着を醸成することが、真の顧客ロイヤルティ構築につながるのです。
2.顧客ロイヤルティが注目されているのはなぜ?
顧客ロイヤルティが注目を集める背景には、市場の成熟化と競争の激化が挙げられます。
新規顧客の獲得コストが上昇する中、既存顧客との関係強化は企業の持続的成長に欠かせません。
顧客ロイヤルティの向上は満足度向上だけでなく、顧客体験全体の最適化を目指すことにより、リピート購入や口コミ効果を促進して企業の収益性向上にも繋げます。
顧客を自社のファンにさせ、自社の商品を多く、長く利用してもらうことが重要になるのです。
3.顧客ロイヤルティを高めるメリットは?
顧客ロイヤルティを高めることで、企業は以下のメリットを得られます。
・顧客のリピート率が上がる
・購入単価が上昇する
・解約率が下がる
・口コミが広がる
顧客のリピート率が上がる
顧客ロイヤルティの向上は、競合他社の魅力的な提案があっても自社のサービスや商品を選び続けてもらえるため、リピート率の上昇に直結します。
例えば、ECサイトにおいて、ユーザーインターフェースの改善やレコメンド機能の導入により、顧客体験が向上すれば、自然とリピート購入が増加します。
単なる割引や特典ではなく、顧客との深い信頼関係構築という結果を得られるのです。
購入単価が上昇する
顧客ロイヤルティを向上させることができれば、信頼する企業の新商品や高付加価値サービスに対してより高い関心を得られ、購入単価の上昇も期待できます。
CRMシステムを活用して顧客の購買履歴や嗜好を分析し、パーソナライズされた提案を行うことで、クロスセルやアップセルの機会が増加します。
その結果、顧客一人当たりの生涯価値(LTV)が向上し、企業の長期的な収益性も改善できるのです。
解約率が下がる
顧客が企業やブランドに対して高いロイヤルティを持つと、他社の魅力的なサービスや製品に目移りすることが減り、結果的に解約する可能性が低くなります。
例えば、カスタマーサクセス管理ツールを提供する「HiCustomer」の調査「カスタマーサクセス白書2021」では、顧客中心の文化を構築している企業ほど解約率が低いことが明らかになりました。
高いロイヤルティを持つ顧客は、ブランドや企業に強い信頼と愛着を持つため、多少の価格やサービスの違いでは競合他社に乗り換えません。長期にわたってサービスを利用し続けるため、企業は新規顧客獲得にかかるコストを削減でき、長期的な成長を支える基盤となるのです。
口コミが広がる
高いロイヤルティを持つ顧客は、製品やサービスに対する満足度が高く、自然とその良さを周囲に伝えたくなります。この自発的な口コミは信頼性が高く、新規顧客を引き寄せる強力なマーケティング手段となるでしょう。
例えば、友人や家族からの推薦は広告よりも影響力が大きく、購入決定において重要な要素となり得ます。また、SNSの普及により、高いロイヤルティを持つ顧客がオンラインで製品やサービスの良さをシェアすることで、情報が瞬時に広範囲に拡散されます。このような口コミは企業にとって費用対効果が高く、広告コストを削減することができるでしょう。
さらに、顧客が自ら発信するポジティブな口コミは、企業のブランドイメージを向上させ、新規顧客からの信頼が得られやすくなります。したがって、顧客ロイヤルティを高めることで口コミが広がり、新規顧客の獲得やブランドの強化に寄与し、結果的に企業の成長と持続可能な成功を促進することができるでしょう。
4.顧客ロイヤルティを計測するための指標は?
顧客ロイヤルティを正確に測定するためには、NPS(顧客推奨度)とCES(顧客努力指標)という2つの指標を使います。
NPS(顧客推奨度)
NPS(Net Promoter Score)は、顧客ロイヤルティを測定するもっとも一般的な指標の1つです。
「弊社のサービスを友人や同僚に勧める可能性はどれくらいですか?」という単一の質問に対する回答を、以下の0から10の11段階で評価します。
・9-10点:推奨者
・7-8点:中立者
・0-6点:批判者
その後、推奨者の割合から、批判者の割合を引いた値がNPSです。
NPS=(推奨者数-批判者数)/総回答数×100
高いNPSは、顧客ロイヤルティの向上と、口コミによる新規顧客を獲得できる可能性が高い状態です。このことから、顧客の感情的な繋がりを数値化し、例えばECサイトやCRMシステムの改善などに活用できます。
CES(顧客努力指標)
CES(Customer Effort Score)は、顧客がサービスや製品を利用する際に必要とする労力を測定する指標です。「弊社のサービスを利用するのにどの程度の労力を要しましたか?」という質問に対し、「少ない」から「多い」までの多段階で回答を得て集計します。
このCESは、顧客体験の摩擦ポイントを特定し、ユーザビリティ改善やCRMシステムの最適化に役立てられます。
可能な限り低いCESを目指すことができれば、顧客の継続利用意向を高め、長期的な関係構築に繋がるのです。
5.顧客ロイヤルティを高める戦略方法とは?
顧客ロイヤルティを高めるためには、以下の3つの戦略を順に実行する体系的なアプローチが有効です。
・自社の顧客に影響を与えている製品やサービスを把握する
・顧客の抱く期待値を上回る体験を実行・検証する
・顧客ロイヤルティを見える化・分析をする
自社の顧客に影響を与えている製品やサービスを把握する
顧客ロイヤルティを高めるには、まず自社の製品やサービスが顧客にどのような影響を与えているのかを、顧客の購買行動や利用パターンの分析などで正確に把握します。この情報を基に、顧客ロイヤルティに直接影響を与える要因を特定し、改善策を立案してください。
例えば、購買履歴やサイト内の行動ログを分析し、どの商品が顧客の継続的な利用を促しているかを特定できます。CRMシステムを活用して、顧客セグメントごとの特徴や嗜好を調べたり、顧客の声に耳を傾けてフィードバックを積極的に収集したりするなどでもより深い洞察を得ることができます。
顧客の抱く期待値を上回る体験を実行・検証する
顧客ロイヤルティを高めるには、顧客の期待を単に満たすだけでなく、顧客の潜在的なニーズを予測して先回りした対応が求められます。
お問い合わせ履歴や購買パターンを分析して得られた情報や、レコメンド機能による洞察から、顧客の嗜好に合わせた商品提案を行うといった具合です。
この取り組みを実行した後は、NPS(顧客推奨度)やCES(顧客努力指標)などの指標を用いて、効果を継続的に検証し、改善を重ねます。
顧客ロイヤルティを見える化・分析をする
顧客ロイヤルティの向上を目指すために、定量的・定性的な両面からのアプローチを可視化し、改善策の立案と実行を繰り返します。定量的には、NPS(顧客推奨度)やCES(顧客努力指標)、リピート率や顧客生涯価値(LTV)などの指標を定期的に測定し、推移を追跡します。
一方、定性的には、顧客インタビューやアンケート調査を通じて、数値では捉えきれない顧客の感情や意見の収集が有効です。このデータをCRMシステムに統合し、多角的に分析することで、顧客ロイヤルティの現状と課題を明確化できるでしょう。
6.顧客ロイヤルティを高めた事例を紹介
ここでは、顧客ロイヤルティを効果的に高めた2つの事例を紹介します。
顧客接点を跨いだ「サンリオ体験」の実現|株式会社サンリオ
サンリオは、顧客ロイヤルティ向上を目指し、新規会員アプリ「Sanrio+」を開発し、店舗、EC、テーマパークなど、異なる顧客接点を横断した統合的な「サンリオ体験」を実現しました。
顧客ID統合基盤として『prismatix』のAPIプラットフォームを採用し、顧客情報の一元管理を行っています。その結果、リリースから3ヵ月で60万人近くのIDが統合され、登録者90万人以上、月間アクティブユーザー30万人規模という成果の達成に成功しました。
新しい顧客体験を生むプラットフォームの導入|スターバックスコーヒージャパン株式会社
スターバックスコーヒージャパンは、顧客ロイヤルティ向上を目指し、モバイルオーダー&ペイ(MOP)システムを導入しました。このプラットフォームは、顧客の利便性を高めるだけでなく、パーソナライズされた体験を提供することで、ブランドへの愛着を深める役割を果たしています。
MOPの導入により、待ち時間の短縮や注文の正確性向上といった顧客満足度の向上だけでなく、顧客の購買行動データを活用した的確なマーケティング施策の実施が可能となりました。その結果、リピート率の向上やLTVの増大など、顧客ロイヤルティの向上を実現しています。
7.顧客ロイヤルティ向上の実現施策に、会員・クーポン・ポイント管理システム「fannaly(ファンナリー)」
顧客ロイヤルティは、単なる顧客満足度や顧客エンゲージメントとは異なり、企業やブランドへの深い信頼と愛着によって持続的な成長を支える基盤です。顧客ロイヤルティを向上させることができれば、リピート率の上昇、購入単価の増加、解約率の低下、そして口コミの拡大といった多くのメリットを得られます。
とはいえ、顧客ロイヤルティの向上は、簡単に実現できません。そのため、以下のような課題をお持ちの方は、ぜひfannaly(ファンナリー)の導入をご検討ください。
・顧客ロイヤルティを高め、リピート率を向上させたい
・従来のポイント制度では差別化が難しく、真のファン作りに苦心している
・店舗やEC等、複数チャネルのデータを統合し、顧客体験を最適化したい
fannalyはMAU数に連動した料金体系を採用しており、利用状況に応じて適切な費用負担で利用可能です。さらに、スマホアプリのダウンロードが不要なため、顧客にとっても利用のハードルが低く、スムーズな導入も実現できます。
顧客ロイヤルティの向上に真剣に取り組み、持続的な成長を目指す企業様は、ぜひプリズマティクスまでお気軽にお問い合わせください。
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