プリズマジャーナルTOP御社の強みは何ですか? 〜強みを生かすマーケティング・ロイヤルティプログラム〜
御社の強みは何ですか? 〜強みを生かすマーケティング・ロイヤルティプログラム〜

御社の強みは何ですか? 〜強みを生かすマーケティング・ロイヤルティプログラム〜

「スターバックス・ユナイテッドアローズ・シップスなど有名企業が見直した今 御社のポイントプログラム、見つめなおしてみませんか?」と掲げて、プリズマジャーナルがお送りする連載企画。全六回にわたって「ロイヤルティプログラム」をテーマに、様々な切り口で記事を短期間で投稿していきます。

企業毎にブランドの強みがあると思いますが、企業として自覚している強み=お客様が体感している強みなのでしょうか。アパレルブランドであれば、「接客力が強みだ」という企業の場合、競合他社と接客力で差別化できているのでしょうか。ブランド毎にお客様が求めている接客は違いますし、接客を軽んじるブランドはとても少ないのではないでしょうか。外食企業であれば「商品力が強みだ」としても、これだけの食材・商品の品質さらに価格を組み合わせてくると競合他社と比べて優れていると言えるのでしょうか。

つまり企業視点でのブランドの強み=お客様が体感している強みと言い切れるのでしょうか。商品の品質、価格、接客、この3つのバランスは整理する必要がありますが、競合他社と比べて大きく優っているという企業は本当にいるのでしょうか。今回はブランドの強みを見直してマーケティングやロイヤルティプログラムを整理していきたいと思います。

1.顧客との接点

購買となる場所は店舗・ECが多いと思いますが、その二つに訪れる前後に多くの接点があります。

来店前(認知前)
・SNS(X、Instagram・TikTok・YouTube)
・web広告(Google広告・Yahoo!広告・SNS毎広告・LINE広告・メディア広告)
・デジタル動画広告(YouTube広告・Abema広告・TVer広告)
・TVCM
・GBP(Google Business Profile)
・チラシ

来店前(認知後)
・公式サイト
・予約

来店後
・アプリ
・LINE

再来店
・店舗→EC
・EC→店舗

およそ上記になりますが、来店前と来店後で企業が顧客を店舗・ECへ誘致する施策や運用が変わってきます。

来店前:マーケティングで新規顧客化
来店後:ロイヤルティプログラムで既存顧客化

と役割が異なります。
もちろんこの二つは循環するサイクルで運用になりますが、多くの企業または担当者によって境界が曖昧だったりします。それぞれどう活用していくのか解説していきます。

2.マーケティングで強みを生かす

店頭では店頭提示物や商品の配置、接客のオペレーションなどがありますが、前提として「お店に入ってきた顧客」です。なぜお店に入ってきたのかは、日頃の認知・興味・共感があって来る場合やロケーションとしてたまたま入ってきたなど様々です。「お店に入って」来る前にどれくらいの動機を生み出せるのでしょうか。

全国にチェーンストア展開しているブランドではTVCMの利用もまだ多いと思いますが、徐々にデジタル動画広告にシフトしてきているのではないでしょうか。媒体が異なれば表現も変りますが、ついTVCMとデジタル動画広告の内容を全く同様の構成で演出してないでしょうか。

極端に異なるのはTikTok広告だと思います。TikTok広告で初回閲覧したユーザーに購買させるにはよほどのインセンティブを提供してない限り難しいでしょう。それぞれの媒体にて、誰が、どんなことを求めて、その媒体のコンテンツを楽しんでいるかを想像してみてください。

経営陣や40〜50代の責任者の感覚が決定権となり、媒体毎・ターゲット毎の設定ができているのでしょうか。TVCMの表裏としてアンケート調査もしてると思いますが、アンケートを動画制作に生かせてますか。なんとなく20代後半から30代前半、独身・小さな子供のいる家族・年間購買頻度・平均購買金額などを見てませんか。そのブランドでなぜ購買するのでしょうか。

さらに「広告臭が強いのは嫌」「自然に共感できる」などユーザーの潜在的なインサイトを踏まえて演出してますか。価格競争による低価格・高品質は飽和化してから、そのブランドは何を強みにできているのでしょうか。

さらにブランドと顧客の接点は、日常接点、非日常接点の2つがあります。ドラッグストアは本業の商品が薬剤ですが、薬を買うのは非日常接点、その代わりにスーパーよりも安価な飲み物や食材を提供することで日常接点を設けてます。
日常接点が多いと非日常接点も利用してもらいやすくなります。つまり、ドラッグストアは両方の接点で囲い込んでいるとてもハイブリッドな店舗です。

では通常のアパレル・外食事業はどうでしょうか。商品を買ってもらえるのは、非日常接点ではないでしょうか。日常接点は一切思い出してもらえないブランドのままで良いのですか。両方の接点で来店してもらえるようにそれぞれのコミュニケーションを増やす必要があります。その際、多くのブランドはSNS運用してますが、誰に向けて配信してますか。SNS毎にどんな配信が新規顧客向け・既存顧客向けなのか使い分けてますか。

顧客にとって、ブランドとはどんな存在なのでしょうか。ずっとずっと寄り添ってくれる拠り所になれますか。あなたのブランドの機能価値は何ですか。情緒価値は何ですか。今の時代はブランドからの発信がなくてもとても共感共有してくれる顧客がいることで成り立つブランドも増えてきました。あなたのブランドの強みを知っているのは顧客だけなのではないでしょうか。

3.ロイヤルティプログラムで強みを生かす

既存顧客を囲い込むことは多くのブランドがこだわっている取り組みです。そしてどんなふうにデータを集計して、どんなふうに活用するのか実施できてますか。仮説を設定して分析できてますか。何となく網羅的な修正と分析、そして施策に繋がらないケースはありませんか。

ライト層・ミドル層・ヘビー層と分けた場合、

・ライト層:購買回数が少ない・人数は多い
・ミドル・ヘビー層:購買回数が多い・人数は少ない

となりますが、それぞれの層をどうやって購買頻度を成長させてますか。会員情報を取得しても、すでにデモグラでは分類できない時代です。かといってオールターゲットでもなければ嗜好も異なります。

なぜそのリピーターは何度も何度も購買してくれるのでしょうか。どうやったら安定的な購買頻度を継続してくれるのでしょうか。

外食では年100回購買する顧客はいます。ロケーションが背景にある場合もあるでしょう。ヘビー層まで成長したら、節々で優良顧客として手厚くコミュニケーションしてますか。「ほっといても購買するからいい」と放置してませんか。賢い企業はヘビー層にしっかりインタビューを申し込んで今後の優良顧客化の育成に活用してます。

では次にライト層はどうですか。F1〜2あたりだと思いますが、どうやってブランドとの日常接点・非日常接点を増やしますか。少なくとも1回は購買してくれた顧客はなぜ再購買しないのでしょうか。商品毎の違いなのか競合との違いなのか把握してますか。

既存顧客のLTVを算出したり購買頻度や初回購買後の傾向などはモニタリングしていると思いますが、そこから得られるボトルネック・ストロングポイントを可視化できていますか。可視化できていれば日常接点のSNS運用や広告、商品開発にも生かせてますか。ブランドの強さは顧客が一番知ってます。そこからどんな情報を集計して分析して施策に生かせてますか。

ロイヤルティプログラムでは、顧客の声をどう集めてどう生かすのかがブランドの強みを可視化していく制度になります。制度によっては日常接点でもコミュニケーションできるのではないでしょうか。その制度(主にアプリ・LINE)で顧客のモチベーションを高める活動はできてますか。わざわざスマホにインストールしたくなるブログラムになっているのでしょうか。ブランドの強みは顧客の行動の中にあります。強みを見直して顧客を育成していけるロイヤルティプログラムにしましょう。

清水 圭介

執筆者プロフィール

清水 圭介
コンサルタント

株式会社EPARKを経て、2018年に物語コーポレーションに入社。外食チェーンストア(焼肉きんぐ・丸源ラーメン・ゆず庵)におけるデジタルマーケティング・DXの部門を立ち上げ、OMO構想からCDP構築を軸にアプリ・web開発からマーケティングまで網羅した戦略立案・企画推進、開発からマーケティング運用を担う。2021年にレインズインターナショナルに入社。デジタルマーケティング部の部長として、牛角・温野菜を中心にCDP構築・web広告・順番受付開発運用などを担う。2023年9月クラスメソッドに参画。

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