“コツコツ”を徹底して根気よく、ラクして検索上位になる魔法はありません【外食企業で“デジマ”を始める!】環境運用編1
外食産業のマーケティングや業務効率化には「外食」という業種特有の課題がネックとなり、デジタル領域を活用しきれていない企業が多く見られます。外食企業が「デジタルマーケティング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を始めるには、どうしたらいいのでしょうか。
前回は「自社顧客化」をテーマにして、環境を具現化(開発)することを解説してきました。今回から2回にわたり、運用編としてマーケティングの進め方を解説していきます。施策の実施時に複数のツールの集計、分析、次の施策へ活用するというクロスした取り組みが必要です。開発編と合わせて参考にしてください。
目次
1-1.[アプリ] 会員数 1-2.[アプリ] LTV 1-3.[アプリ] インセンティブ 1-4.[アプリ] 配信・バナー 1-5.[アプリ] 追加実装 2.[LINE] クーポンの計測 3.予約の運用 4.グルメサイトの運用 5-1.[GBP] 店舗情報の更新 5-2.[GBP] 口コミの返信 5-3.[GBP] 投稿の更新 5-4.[GBP] GBP数値実績1-1.[アプリ] 会員数
アプリの会員数を増やすことは、定量的にしっかり積み上げていく必要があります。本部だけが推進しようとしても効果はありません。店舗側が協力的であるかどうか、しっかり横断的に実行していかなければなりません。
「なぜ会員数を増やす必要があるのか」というと、「自社顧客を増やして来店頻度を成長させて利益を積み上げるため」というのが、その回答になります。
公式サイト、SNS、店頭POP等で、積極的に新規会員登録を促進してください。
1-2.[アプリ] LTV
会員のLTVがどれくらい成長するのか計測していく必要があります。ある程度の会員数や利用期間があれば、集計と分析から、離脱しそうな会員の来店を促進させましょう。
LTVの定義や来店頻度は業態によって全く異なりますが、担当する業態の成功例を可視化し、他の会員の来店頻度や年間会計金額の積み上げを増やしていきます。
1-3.[アプリ] インセンティブ
お客様がアプリ会員になるメリットを用意するようにしてください。初回ダウンロードや会員登録は、特に、なるべく強いインセンティブを設定する必要があります。クーポン別にPOS連携したQRコードも、随時設定して利用してください。
1-4.[アプリ] 配信・バナー
施策別にプッシュ通知やバナー設置などを行い、どの接点が最も表示されたのか、利用寄与しているか、計測しながら運用してください。
1-5.[アプリ] 追加実装
運用していると、各部門からも追加要望があり、UI/UXの改善や顧客満足度、新規施策を具現化する為の機能等、追加実装することが必要になります。
運用体制にもよりますが、“簡単に微調整できる案件”と“大きい追加実装”は、慎重に検討して進めてください。1年を通してみた時、想定していたよりも高額なコストになってしまう場合があります。
2.[LINE] クーポンの計測
LINEでのクーポン配信時にはQRコード等を表示して来店計測をしましょう。他ツールのクーポンQRコードとは異なるコードにしてください。
LINEは配信内容を見てもらいやすいツールですが、通常の公式LINEアカウント運用では来店寄与が可視化されにくい仕組みです。LINEミニアプリを利用すると、来店ポイント(又はスタンプ)を設けることで来店寄与を可視化できます。POS連携をすることで、より良いツールになります。
自社開発のアプリの方が自社顧客としてのメリットが大きいですが、アプリでは獲得出来ない層をLINEで得たい場合は、自社アプリと並行してLINEミニアプリを利用するのも良い方法だと思います。一方で両方を運用するのはかなりのコストになりますので、どうあるべきかということを検討して運用してください。
店舗別LINEアカウントを運用している場合、こちらをLINEミニアプリにして来店寄与の可視化をするのも良いでしょう。LINEの従量課金も店舗別に分散されます。ただし、全店舗分の従量課金を可視化して今後の方針を検討する際、積み上がるコストのバランスについては慎重になる必要があります。
総合的には、LINEにはLINEの良さがあり、自社アプリとの使い分けをしながら運用するのが理想的です。
3.予約の運用
Saasを使うことも含めて、「自社予約」はしっかりと予約件数と来店件数の推移をモニタリングして、課題が無いか、施策の効果があったかどうか等を分析してください。
アプリや公式サイト、GBPなども連携できる場合は、各チャネルがどれくらい来店寄与しているか比較分析し、次はどの部分を強化すべきか調整してください。
新たな施策をトライアルする時には、特定の店舗だけの予約や来店数を活用して効果測定してください。大きな施策になる程、トライアルをすることが重要になってきます。
4.グルメサイトの運用
グルメサイトを脱却したい業態はとても多い印象です。既に取り組んでいる企業も多いとは思いますが、異例な店舗やシーズン別の調整を兼ねて、店舗別のプラン見直し、グルメサイトにかけるコストを最小限にすることを勧めます。
自社予約とグルメサイト予約が混ざっている業態も多いと思います。ユーザー側はグルメサイトを使うメリットがある場合もありますが、運営側としてはなるべく自社予約に寄せる方がメリットがあります。予約データの精度が向上し、各施策の効果測定時にも可視化し易くなります。
5-1.[GBP] 店舗情報の更新
GBP(Google ビジネスプロフィール)更新が大切な理由は、ユーザーがネット検索時にGBPの情報を活用するからです。GBPから直接予約、電話、ルート案内等は、とても利用頻度が高いツールです。
各店舗またはマネージャーからの修正依頼もなるべくシンプルに、集約するフローにしましょう。バラバラと情報が流れてきて最新情報が不確実になってしまうと、クレームに発展します。
フランチャイズの場合、コントロールが大変だと思いますが、ユーザーから見れば“同じブランド”です。横断的な更新を徹底してください。業態によっては、店舗毎の情報更新業務が毎日発生する場合もありますが、効率よく運用してください。
5-2.[GBP] 口コミの返信
GBPの更新で大切なことの一つが、ユーザーの口コミへの返信です。口コミにきちんと対応しているかどうかは、MEO(マップ検索エンジン最適化)で上位に表示される為の、重要な要素の一つです。放置していると評価も下がりますし、未対応の口コミ数が溜まっていかないように対応してください。
5-3.[GBP] 投稿の更新
GBPの更新頻度の一つに「投稿」があります。月間の投稿回数は、GBPの評価向上に影響する部分です。競合よりも頻度高く更新していくことで、差をつけていく必要があります。
5-4.[GBP] GBP数値実績
GBPの更新の精度を高めていくと、必然的にアクセス数や予約件数が伸びます。GBP自体の評価やMEOで上位に表示されるかどうかについては、Google側が自動査定していますが、コツコツ積み上げていくことが必要不可欠だと思ってください。
「簡単にMEO上位になります!」という謳い文句を掲げるサービス業者をよく見かけますが、依頼するかどうかは慎重に検討するべきです。たまに突拍子もない提案する企業もいますので、ご注意ください。
極端に言いますと、楽して簡単にMEO上位という魔法はありません。コツコツと更新や投稿を積み上げていくことを徹底して貰えばと思います。根気よく取り組んでください。
執筆者プロフィール
清水 圭介
コンサルタント
株式会社EPARKを経て、2018年に物語コーポレーションに入社。外食チェーンストア(焼肉きんぐ・丸源ラーメン・ゆず庵)におけるデジタルマーケティング・DXの部門を立ち上げ、OMO構想からCDP構築を軸にアプリ・web開発からマーケティングまで網羅した戦略立案・企画推進、開発からマーケティング運用を担う。2021年にレインズインターナショナルに入社。デジタルマーケティング部の部長として、牛角・温野菜を中心にCDP構築・web広告・順番受付開発運用などを担う。2023年9月クラスメソッドに参画。
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