本記事では、顧客セグメンテーションについて説明します。
顧客セグメンテーションの必要性や分類方法、企業のマーケティング事例などを詳しく紹介いたします。
顧客セグメンテーションとその方法について調べたい方、又は、事業会社で会員・ポイントCRM基盤の導入やECサイトの構築を検討されている担当者やビジネスオーナーの方に役立つ記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.顧客セグメンテーションとは 2.顧客セグメンテーションの分類例 3.顧客セグメントに用いられるフレームワーク 4.顧客セグメントの作り方と活用時の注意点 5.顧客セグメントのマーケティング手法を行った企業事例 6.顧客セグメンテーションに必要な情報の収集に有効な「fannaly」(ファンナリー)1.顧客セグメンテーションとは
顧客セグメンテーションとは、類似の特性により顧客を複数に分類することを言います。
それでは、具体的に説明していきます。
顧客セグメンテーションの必要性
企業のマーケティングにおいて、顧客セグメンテーションが必要となった主な要因は、テレビ媒体などを活用した不特定多数に向けたマーケティング手法が成果をあげにくくなったことにあります。
インターネットやSNSの浸透を経て、消費者の嗜好はかつてないほど多様化しています。
そうした中、企業が効率的に利益を確保するには、顧客を細分化し、狙うべき対象を定めた上でニーズに沿ったコミュニケーションを行うことが必要になっています。
顧客セグメンテーションを行えば、購買傾向などで顧客を分類できますので、カテゴリーごとの需要が把握しやすくなります。
STP分析との関係性
顧客セグメンテーションを実施する上で、STP分析との関係性を押さえておきましょう。
STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)のそれぞれの頭文字から名付けられたマーケティングを代表する考え方です。
顧客および市場を何かしらの要素で分類し、その中から攻略する対象を定め、競合との比較の中で自社の商品やサービスが優位性を保てる位置を明確にする、いわば、企業の市場戦略策定の基本的なフレームワークと言えるでしょう。
顧客セグメンテーションはSTP分析の基本要素を担っており、密接につながっています。
2.顧客セグメンテーションの分類例
顧客セグメンテーションには主に、以下の4つの切り口があります。
・デモグラフィック(人口動態変数)
・ジオグラフィック(地理的変数)
・サイコグラフィック(心理的変数)
・ビヘイビアル(行動変数)
では、それぞれ説明していきます。
デモグラフィック(人口動態変数)
デモグラフィックは、パーソナルな属性を軸に顧客を分類する手法で、主に、年齢、職業、性別などの要素を用います。BtoBであれば、企業の業種や業態、従業員規模、担当者の所属部署や役職などを軸に細分化していきます。
デモグラフィックによる顧客分類は、アンケートなどを通じて情報収集が比較的容易で、顧客の共通属性が特定しやすいことから、効率的なマーケティング活動が可能になります。
ジオグラフィック(地理的変数)
顧客セグメンテーションには、国や都市、地域、市町村など人口規模や地理的条件に基づいて顧客をカテゴライズする手法もあります。ジオグラフィック変数とよばれる分類手法は、気候や生活習慣によって売れ行きに差が生じやすい商品、サービスを手掛ける事業者に有効です。食料品や衣料品、家電製品などを実店舗で扱う事業者はマーケティング効果を高めやすくなります。
また文化や宗教も地理的変数に該当します。
同カテゴリーで需要が明確な商品、サービスにはきわめて有効です。
サイコグラフィック(心理的変数)
心理的変数も顧客セグメンテーションの重要な手法のひとつで、消費者のライフスタイルや性格などパーソナリティを軸に分類していきます。BtoBにおいては、組織の購買動機や関与、ビジネス上の課題、購買方針などが代表的です。
心理的変数によるセグメンテーションのメリットは、競合他社との差別化を行いやすい点です。価値観など顧客を内面で分類し、それに沿ったマーケティングを実施することで、共感の醸成ひいてはブランディング効果が期待できます。
ビヘイビアル(行動変数)
顧客の行動を切り口とする顧客セグメンテーション手法も認識しておきましょう。
ビヘイビアルとは行動特性を意味し、顧客の過去の行動を指標としています。
行動変数には、使用頻度や購入金額、ベネフィットなどの項目があります。
行動変数により顧客を分類することで、セグメントごとに適切なマーケティング施策が可能になります。
ユーザー歴の浅い顧客にはリピートを促し、リピーターにはロイヤルカスタマーへ昇華させるべく施策を実行できるようになりますので、顧客のロイヤルティ向上が期待できます。
3.顧客セグメントに用いられるフレームワーク
顧客セグメントに用いられるフレームワークには、以下の3つが挙げられます。
・RFM分析
・CPM分析
・デシル分析
それでは、それぞれ見ていきます。
RFM分析
RFM分析とは、「購買最新日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」を切り口に顧客を細分化する分析手法です。「購買最新日」では、最終購買日から日数が短い顧客が高評価になり、「購買頻度」に関しては、買い物の回数が多い顧客を高く評価します。「購入金額」は文字通り、累計での購買金額が高い顧客が評価されます。
RFM分析を行うことで、優良顧客、休眠顧客、新規顧客の比率が可視化できるようになりそれぞれの段階に応じたマーケティング施策が実行できるようになります。
CPM分析
CPM分析は、Customer Portfolio Management から名付けられた分析手法です。
購入頻度、購入金額、初回購入日から最終購入日までの経過日数を軸に顧客を分類していきます。
CPM分析の特徴は、顧客を10段階に分類する点です。顧客全体を対象とした中長期的なアプローチを通じて、顧客育成を目的としています。顧客細分化を密に行うことで、より適切なマーケティング施策を打ち出せますので、顧客の競合他社への流出を防ぐことが期待できます。
デシル分析
デシル分析は、購入金額のみを指標とする分析手法です。購入金額から顧客を10等分にしてグループ化を行い、各グループの累積購入金額やその比率、1人あたりの購入金額などを算出していきます。
デシル分析のメリットは、分析が比較的容易である点です。
また、顧客グループの売上への貢献度を算出できますので、それぞれに対する個別のマーケティング展開が可能になります。優良顧客層にはさらなる顧客体験の向上を、下位、中位の顧客層には売上の底上げにつながる適切な施策をそれぞれ実施することができます。
4.顧客セグメントの作り方と活用時の注意点
ここから、顧客セグメントの作り方と活用時の注意点を説明いたします。
顧客セグメントの作り方の手順
顧客セグメントの作り方の手順は、以下のようになります。
1.現状分析
2.セグメンテーションの実施
3.セグメント評価
それでは、それぞれ確認していきましょう。
1.現状分析
顧客セグメントを構築する第一歩は、自社の現状を正確に把握することです。
・自社製品、サービスの強みの明確化
他社にない独自の価値や競争優位性を洗い出します。例として価格、品質、機能性などが挙げられます。
・競合製品、サービスとの違いの抽出
市場での位置づけや競合との差別化ポイントを明確化します。
・自社のコア顧客層と充足するニーズの明確化
自社の主要顧客層を特定し、それがどのようなニーズを満たしているのか理解します。これによりターゲットの軸が明確になります。
2.セグメンテーションの実施
現状分析を基に、顧客を分類するプロセスを進めます。
・分類手法の選択
顧客を分類するための基準を設定します。例えば、先述した「デモグラフィック」「ジオグラフィック」などが挙げられます。
・顧客分類の実施
顧客データを収集し、設定した基準に従ってセグメント化します。
データ分析ツールやCRMシステムを活用することで、より精密なセグメンテーションが可能です。
3.セグメント評価
作成したセグメントが実用的であるかを評価します。ここでは、4Rを基準に分析することが効果的です。
4Rとはセグメント評価の代表的な手法で、以下のように4つのRで構成されています。
優先順位(Rank) | アプローチを行う顧客の優先順位を決定する |
有効性(Realistic) | 市場の成長度などから、十分な売上が見込めるかを判断する |
到達可能性(Reach) | 地理的要因などから、自社サービスがターゲットに届くかを検証する |
測定可能性(Response) | マーケティング施策の効果の測定可能性を検証する |
顧客セグメンテーション活用時の注意点
顧客セグメンテーション活用時の注意点には、以下の3点があります。
・製品・サービス固有の変数も活用する
・セグメントの分類を細かくしすぎない
・変数を複数組み合わせる
それでは、説明していきます。
製品・サービス固有の変数も活用する
1つ目の注意点は、製品・サービス固有の変数も活用するという点です。
例えば、宿泊業であれば、一人旅もしくは家族旅行といった旅の目的が該当しますし、製品の販売であれば、単品購入やまとめ買いといった購買特性を指標とすることも選択肢の一つです。
このように、業種や業界固有の変数を活用すれば、顧客の洞察が深まり、マーケティングの成果がより期待できるようになります。
セグメントの分類を細かくしすぎない
セグメントの分類を細かくしすぎないことも大切な点です。
顧客細分化を過度に行うと、セグメント評価の4Rが満たせなくなる可能性が高いです。
顧客セグメンテーションの本来の目的は、アプローチを行うに値する対象を見極めるためで、顧客を細分化することではありません。
顧客セグメンテーションを行う際は、4Rを意識しながら分類の度合いを測ることが大切になります。
変数を複数組み合わせる
最後の注意点は、変数を複数組み合わせる点です。
顧客セグメントの際に、性別や年齢といった括りの大きな変数を単一で行うことは、ターゲットのイメージがかすんでしまうため、マーケティングの成果を上げにくくなります。
製品やサービスによって事情は異なりますが、多くの場合、顧客セグメンテーションには、競合他社との差別化が図りやすく、ターゲット像がより明確になるような、複数変数の組み合わせが望ましいでしょう。
5.顧客セグメントのマーケティング手法を行った企業事例
ここからは、顧客セグメントのマーケティング手法を行った企業事例を紹介いたします。
ユニクロ
ユニクロは、顧客セグメントに基づいたマーケティング手法の成功例として知られています。
同社はSTP分析(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)を活用し、多様な顧客ニーズに応える戦略を展開しました。
具体的には、性別や年齢、ライフスタイル、季節ごとのニーズに応じた商品ラインを展開し、広範囲のターゲット層にアプローチしています。
例えば、機能性とデザイン性を両立させた「ヒートテック」は、寒冷地に住む消費者やアウトドア派のニーズを捉える一方、快適さを重視する日常使用者にも訴求しました。また、広告では「LifeWear」というコンセプトを前面に打ち出し、全世代が共感できる「日常生活を豊かにする服」というポジショニングを確立しました。
この戦略により、ユニクロは世界的ブランドへと成長しました。
スターバックス
スターバックスの顧客セグメントの特徴は、徹底的な細分化にあります。
年齢に関しては、10代後半から70代まで広いレンジで男女別に分類し、職業に関しても細かな細分化を実施しています。学生、社会人、公務員、自営業者、高齢者、はてはノマドワーカーにまで対象を広げるなど、経済力の高低、喫煙の有無を踏まえつつ小刻みに分類しています。
さらには地域に関しても、大都市と地方都市という具合に市場の分類を行い効果的な出店戦略につなげています。
スターバックスは、独自の顧客体験を提供するカテゴリーや市場を明確にしたことで、ブランディングにつながるマーケティングの環境、機会を巧みに作り出しています。スターバックスの例は、細分化を徹底することでターゲットの抽出に成功したケースと言えるでしょう。
6.顧客セグメンテーションに必要な情報の収集に有効な「fannaly」(ファンナリー)
今回詳しくご紹介した顧客セグメンテーションは、顧客を属性や行動に基づいて分類し、それぞれのニーズに応じた最適なアプローチを行うための重要なマーケティング手法です。
この手法を活用することで、企業は顧客満足度の向上や売上増加を実現できます。
しかし、顧客情報を効率的に管理し、セグメントごとに効果的な施策を実施するには、高度なデータ分析や一元管理が求められます。
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