「ID統合を実施するメリットはあるの?」「そもそもID統合とは?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
ID統合とは、異なる顧客データソースで管理されていた顧客IDを一元化することです。ID統合を実施することで、顧客満足度の向上や競合との差別化、セキュリティの向上などを実現できる可能性があります。
今回の記事では、ID統合の基礎知識や重要視されている背景、メリットとデメリット、注意点を解説します。ID統合の成功事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.ID統合(顧客ID)とは 2.ID統合が重要視されている背景 3.ID統合をするメリットとデメリット 4.ID統合の方法や顧客IDの付け方 5.ID統合時に注意すべき3つのポイント 6.ID統合の成功事例5選 7.まとめ1.ID統合(顧客ID)とは
ID統合とは「複数の事業やサービス(異なる顧客データソース)で管理されていた顧客IDを一元化すること」です。ID統合をすることでさまざまなメリットを得られるため、最近は多くの企業がID統合を実施しています。
例えば、ID統合を実施することにより、顧客満足度を向上させることができます。Webサイトやアプリ、実店舗におけるデータが別々に管理されている場合、ユーザーのデータを正確に把握できずに適切なアプローチを実施できません。しかし、データを一括で管理できれば、ユーザーの行動や嗜好に応じたアプローチを行いやすくなり、顧客満足度の向上につながります。
顧客満足度を考える上で重要なLTVについては、以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてください。
2.ID統合が重要視されている背景
それでは、どうしてID統合が重視されているのでしょうか?以下で、ID統合が重要視されている背景を説明します。
顧客満足度の低下
サービスごとに異なるID・パスワード設定が必要な場合、顧客満足度が低下してしまう可能性があります。ユーザーは、ID・パスワードを発行する際、氏名やメールアドレス、生年月日などの個人情報を入力する必要があり、ストレスを感じやすくなるためです。
そこでID統合を実施してID・パスワード発行の手間をなくせば、ユーザーのストレスが軽減されます。結果的に顧客満足度が高まり、LTV向上につながります。
LTVに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
競争環境の激化
近年はECなどのインターネットサービスが普及したことにより、他社との差別化を図ることが難しくなっています。そんな競争環境が激化した現在、他社との差別化を図るためには、より優れた顧客体験を提供しなくてはいけません。ID統合はユーザーのストレスを軽減するため、優れた顧客体験につながります。
こういった工夫が競合との差別化にもなり得るのです。
セキュリティの向上
セキュリティの向上を目指すことができることもID統合が注目されている理由のひとつでしょう。
顧客のデータが分散した状態だと、管理が複雑化したり統合的な監視が難しくなったりと、個人情報の保護が難しくなるため、漏洩リスクが高まってしまいます。個人情報漏洩などの事故が起きると企業への信頼が損なわれてしまうため、セキュリティの観点からもID統合の重要性が叫ばれているのです。
顧客基盤の拡大と関係性の強化
顧客基盤とは、自社サービスや商品をリピートして購入してくれるユーザー層のことです。
市場における競争が激化し、既存顧客との関係性がより重要になっている現在、ユーザーに応じたアプローチが求められています。
ID統合を取り入れれば、企業はユーザーの行動や嗜好などのデータを総合的に活用できるようになります。ユーザーに合わせてサービスやプロモーションを提供をすることで、顧客基盤の拡大を目指せるのです。
潜在的コストとリスクの増加防止
ID統合を怠ってしまうと、コストとリスクが増加してしまうかもしれません。例えば、顧客情報が分散された状態だと、データ管理に手間が生じます。また、データが重複している可能性があり、効率的な管理を行うことは難しいでしょう。
結果的にデータ管理に時間がかかってしまうと、コストが増大するだけでなく、顧客サービスの遅延やミスが生じやすくなります。
3.ID統合をするメリットとデメリット
以下で、ID統合のメリットとデメリットを確認しておきましょう。
メリット
ID統合を行う主なメリットは、以下の通りです。
・マーケティングの強化
・顧客満足度向上
・運用効率の向上
・ユーザーエクスペリエンスの向上
・セキュリティの強化
ID統合を通じて顧客データを横断的に入手できるようになれば、効果的なマーケティングを実現しやすくなり、顧客満足度向上を目指すことができます。
また、ユーザーは一つのID・パスワードで複数のサービスを利用できるようになるため、ユーザーエクスペリエンスの向上にもつながります。
デメリット
ID統合を検討している企業の担当者は、メリットと併せてデメリットについても理解しておきましょう。
ID統合の主なデメリットは以下の通りです。
・システム導入コスト
・統合作業における時間コスト
・個人情報漏洩のリスク
ID統合を実施する場合、システム導入などのコストを考慮する必要があります。
さらに、統合作業に時間がかかるだけでなく、作業時に個人情報漏洩のリスクがある点にも注意が必要です。ただし、適切にID統合を行うことができれば、その後のメリットを享受することができるでしょう。
4.ID統合の方法や顧客IDの付け方
ID統合は、企業が一括で実施する方法と、顧客が情報を更新して統合する方法に分けられます。
以下で、それぞれの詳細を確認していきましょう。
企業側の場合
まず紹介する方法は、企業が保有している顧客データを元に、新しいIDを発行する方法です。
以下の流れでID統合を実施します。
・顧客の個人情報(氏名やメールアドレスなど)をもとに同一顧客を判別
・AIを用いてデータを照合し、同一顧客かを確認
企業側が主な作業を行うため、スピーディーなID統合を実現できます。ID統合の作業に手間やコストは発生しますが、CDPやCRMツールを活用することで効率的にID統合を実現できます。
顧客側の場合
続いては、顧客が情報を更新することでID統合を行う方法です。
新規顧客には新しいIDを付与し、既存顧客に対しては情報を更新してもらう形でID統合する流れが一般的でしょう。顧客による操作なので正確性の高いデータを維持できるものの、顧客のタイミングによる更新であるため、全ユーザーのIDを統一することは難しいです。さらに、顧客にアクションを起こしてもらうには、メールやWebサイトなどでわかりやすく提示する必要があります。
5.ID統合時に注意すべき3つのポイント
ID統合する際に注意すべきポイントがいくつかあります。
以下で、主な注意点を確認していきましょう。
顧客体験の向上・カスタマージャーニーの最適化
ID統合時には、顧客にとっての利便性が向上しているかを意識することが重要です。ID統合は、同一のIDで複数のサービスを利用できるようになるため、顧客体験が向上する施策と言えます。また、異なるチャネル間での行動パターンや嗜好を分析することで、顧客一人ひとりにとって最適なサービスを提供できるようになるでしょう。
しかし、上記を実現するためには、異なるチャネル間のデータ連携が欠かせません。ツール等を利用して効率的にデータ連携を行えるようにしましょう。
プライバシーに関する規制への対応
プライバシーに関する規制も、ID統合で注意したいポイントの1つでしょう。ID統合は顧客の個人情報を扱う作業です。そのため、個人情報保護法や一般データ保護規則などのガイドラインを守る必要があります。ガイドラインに違反した場合、重大な罰則が課せられるだけでなく、顧客からの信頼を失ってしまいます。顧客の同意を得る、プロセスの透明性を確保するなど、ガイドラインに則ってID統合を進めていきましょう。
データサイロ化の解消とシングルカスタマービューの基盤構築
データサイロ化とは、データが孤立しておりシステム間の連携ができない状態のことです。シングルカスタマービューとは、顧客データを一元的に管理することを指します。
データサイロ化を解消し、シングルカスタマービューを実現することで、顧客データをより正確に分析できるようになります。データ連携に関する専門知識やノウハウがない場合は、外部に委託することも一つの手段でしょう。
6.ID統合の成功事例5選
ここでは、以下5つの企業におけるID統合の成功事例を紹介します。
・株式会社コーセー
・スターバックスコーヒージャパン
・KDDI株式会社
・JR東日本
・セブン&アイ・ホールディングス
株式会社コーセー
株式会社コーセーは、主に化粧品の製造・販売を手掛ける企業です。Webサイト、スマホアプリ、店舗システム、それぞれチャネルごとに管理していたデータを一元管理することと、個人情報管理を強化することを目的にID統合を実施しました。新システムを導入することで、顧客は各チャネルで「KOSE ID」を利用可能になり、新たなマーケティングが可能になったと言います。
スターバックスコーヒージャパン
スターバックスコーヒージャパンは、日本においてコーヒー関連事業を展開する企業です。店舗が顧客との主な接点でしたが、デジタルでのつながりを強化するために、CRMに取り組んだと言います。
具体的には、オンラインでスターバックスカードを登録できるシステムを構築し、個人情報と購買情報を結び付けられるようにしました。今後もパーソナライズされたアプローチで、顧客との関係性構築に取り組むそうです。
KDDI株式会社
KDDIのID統合サービス「KDDI IDマネージャー」は、通信事業で培った高度なID認証技術と24時間365日の運用体制を活用し、企業のID管理を効率化しました。多要素認証やパスワードレス認証を導入し、セキュリティを強化。さらに、API接続により迅速な導入を実現し、ユーザーの利便性を向上させました。
JR東日本
JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)は、主に鉄道事業を手掛ける企業です。
同社は、2021年6月にウェブサイト「えきねっと」をリニューアルしました。従来は新幹線予約などで「えきねっとポイント」が貯まる仕組みでしたが、ID統合を行い、グループで使われている「JRE POINT」が貯まるようになりました。
貯めたポイントは駅ビルで使用するほか、Suicaにチャージしたり、新幹線のチケットと交換したりすることができます。
セブン&アイ・ホールディングス
セブン&アイ・ホールディングスは、セブンイレブン・ジャパンやイトーヨーカ堂などを傘下に抱える企業です。
同社は、セブン&アイグループで共通利用できる「7iD会員」を導入しました。非会員顧客と比較すると、7iD会員は購入金額や購入回数、残存率などでより高いパフォーマンスを見せていると言います。セブンイレブンアプリに決済機能を追加するなど、顧客とのデジタルにおけるつながりを強化していくそうです。
7.まとめ
今回の記事では、ID統合を検討している企業の担当者に向けて、ID統合の基礎知識やメリット・デメリット、注意点などを解説しました。
ID統合は、複数サービスを同一IDで利用できるようにする仕組みです。ID統合を実施することで、セキュリティやマーケティングの強化などのメリットを得られます。しかし、データ保護などに関するノウハウが少ない場合は、プロセスに時間がかかる可能性が高いです。
効率的にID統合を進めたい方には、ポイント管理サービス「fannaly(ファンナリー)」をおすすめします。fannalyでは、複数チャネルのポイントを統合できるだけでなく、顧客情報の管理や分析なども行うことができます。
下記の課題を感じている方は、ぜひfannaly(ファンナリー)の導入をご検討ください。
・店舗やEC等、複数チャネルと連携し、会員情報を一元管理したい
・ライト層へのアプローチで顧客頻度を増加させたい
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