Web広告、SNS、チラシ、GBP。次の打ち手はデータ分析から【外食企業で“デジマ”を始める!】分析から施策
外食産業のマーケティングや業務効率化には、「外食」という業種特有の課題がネックとなり、デジタル領域を活用しきれていない企業が多く見られます。外食企業が「デジタルマーケティング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を始めるには、どうしたらいいのでしょうか。
前回は「集計と分析」をテーマにしました。今回は「分析から施策へ」というプロセスについて、詳しく解説していきます。これが、【外食企業で“デジマ”を始める!】シリーズの最終回となります。
目次
1.[web広告] データから読み解く、アプリ会員化施策 2.[SNS] データから読み解く、アプリ会員化施策 3.[チラシ] データから読み解く、アプリ会員化施策 4.[GBP] データから読み解く、アプリ会員化施策 5.連載【外食企業で“デジマ”を始める!】を運用、開発の参考に1.[web広告] データから読み解く、アプリ会員化施策
多くのマーケティング担当者は、複数のメディアを活用してweb広告を打っている場合、その効果検証や次の打ち手に悩んでいるかと思います。下記では、具体的なweb広告について、それぞれどのように施策化すれば良いのかを見ていきたいと思います。
●リスティング
リスティングは、認知や検索の母数を増やす狙いで実施することが多いと思います。誘導するランディングページ(以下、LP)も、初期はブランド紹介や来店訴求に止まるケースが多いのではないでしょうか。すると、一定のユーザーからのクリック数は得られても、コンバージョンが伸びなかったり、実際の購買に寄与しているかどうか分かりにくい等、悩むことは多いと思います。
ターゲットの精度を高めるためには、既存顧客データを活用してセグメントの精度を高めたり、表示させるLPの記載内容をブラッシュアップしてABテストで検証することをお勧めします。また、クリックしたユーザーに対しては、「初回お試し」等の購買につながるインセンティブの提供も、“ある程度”は必要です。初回にインセンティブを提供したとしても、その後アプリ会員として再購買を促すことで、年間での購買回数を増加できれば、大きな成果になるはずです。
●画像表示のweb広告ディスプレイ、リタゲ/リマケ、SNS広告(X、Instagram)LINE広告、クーポンメディア広告、グルメメディア広告
リスティングと異なり、バナーなどの画像表示からLP遷移させる広告が多いと思います。セグメントしたターゲットに合わせた画像とLPの組み合わせの効果が見えてくれば、施策の途中から最も効果のある組み合わせにして、残りの予算をアロケーションしていくかと思います。
シーズン毎の施策で記載内容を変更することもあると思いますが、初期にいろんなバージョンの組み合わせ(画像・LP・インセンティブ)を実施することで、必勝パターンを固めていくことが必要です。
●動画のweb広告(Instagram、TikTok、YouTube)
ユーザー接点という観点では、動画のWeb広告で根気よく興味関心を高めていくことは必要不可欠だと思います。しかし、多くの企業が失敗しているのもまた、事実です。“広告臭”が強すぎて、ユーザーが素直に楽しめない、興味を持ってもらえないケースが多いのがその原因です。
Instagramのリール動画は、商品の魅力や品質の良さ、TikTok、YouTubeは話題感やエンタメ感を重視してつくる必要があり、広告内容の訴求よりも楽しくなれる要素が求められる場合が多いと考えてよいでしょう。そのため、画像表示の広告よりはるかにコンバージョンや購買につながらないケースが多いのではないでしょうか。このようなことから、動画の広告効果の検証から次の動画展開は、とても労力が必要になると思います。
2.[SNS] データから読み解く、アプリ会員化施策
SNS投稿においては、SNSそれぞれに、どのくらいの影響力を積み上げていくかが重要になります。どのSNSでも同様ですが、投稿からアプリにつなげる導線をつくることや、SNSからしか発信しないキャンペーンをアプリに繋げる連携も、施策に反映するようにしてください。
●X(旧Twitter)
Xからアプリ会員化に繋げるためには、毎月定期的な抽選キャンペーンをすることで定量的な効果を生み出せます。通常投稿で話題を作るのは至難の業と思った方が良いでしょう。かなりウィットなアイデアや、投稿慣れしているスタッフが担当者として配信し続けないと、高い効果は期待できません。
Instagramは、飽きさせないシズル感や、商品の楽しみ方をバリエーション広く積み上げていくことが大切です。しかし、商品だけの投稿はすぐに限界が来て、飽きられてしまいます。出演者(従業員またはインフルエンサー)に定量的に登場してもらうことで、商品やヒトから生まれる“体験”の楽しさを、盛り上げていきましょう。
●TikTok
TikTokに関しては、普段見られないブランドの側面を確立するのに良いメディアです。航空会社や百貨店など、普段は高級感や品質を強みとするブランドもお手本になるでしょう。TikTokはブランドとユーザーの日常接点を末長く積み上げるのに適しているといえます。そういう意味でも、大切に向き合う必要があるメディアとなります。
TikTokはInstagramと同様に“シズル”や“ヒト”という側面でとても高い効果がありますが、ブランドへのファンを作るにはシズル以外の投稿もしていくことが大切です。面白い、楽しい、続きが見たくなる。そんな投稿の積み上げが必要です。「外食」という業態の垣根を超えたコンテンツの量産が、巡り巡ってブランドのファンにつながっていきます。
3.[チラシ] データから読み解く、アプリ会員化施策
チラシの効果改善は、クーポンのメリハリと季節感のある目新しさでブラッシュアップしていくことが大切です。チラシだからこそ、ヴィジュアルとメッセージで見る人を「楽しませる」ということを強化してください。情報量が多すぎると見てもらえないこともありますので、メリハリが必要です。チラシからアプリ会員になったユーザーの来店頻度の成長やチラシ配布エリアの改善も、データ分析を役立てて行ってください。
4.[GBP] データから読み解く、アプリ会員化施策
GBPは、定量的な投稿数やキャンペーンなどをどんどんブラッシュアップしてください。MEOへの貢献度は、GBPのルールが変わっていく中、都度適正な投稿や運用が欠かせないことになるでしょう。利用するSaasによっては、GBP運用とwebサイト連携の提供もありますので、確認して活用するようにしてください。そして、GBPからもアプリ遷移による自社顧客化も、しっかり根付かせてください。
5.連載【外食企業で“デジマ”を始める!】を運用、開発の参考に
これまで10回に渡り、外食におけるデジタルマーケティング、OMO、CRMについて、詳しく解説してきました。
これらはどれも、単独で完結するものではなく、連携したり、循環しています。俯瞰的に各チャネルやツールの連携を見据え、データを分析して、次はどこを強化すべきか、どこに予算投資が最適なのかをブラッシュアップしてください。その中で追加開発や集計分析方法もさらに精度が高くなります。
外食産業というものは、お店があり、商品があり、お客様の笑顔を体験できる、とても魅力ある業態です。“リアル”のもたらす魅力を、デジタルで発信したり、利用に展開させることが出来れば、お客様とのコミュニケーションも高まり、より最適な店舗環境、商品改善、接客改善などに繋がっていきます。
これらを根気よくブラッシュアップしていくという運用、開発を心がけていただくにあたって、この連載が一助になれば幸いです。
執筆者プロフィール
清水 圭介
コンサルタント
株式会社EPARKを経て、2018年に物語コーポレーションに入社。外食チェーンストア(焼肉きんぐ・丸源ラーメン・ゆず庵)におけるデジタルマーケティング・DXの部門を立ち上げ、OMO構想からCDP構築を軸にアプリ・web開発からマーケティングまで網羅した戦略立案・企画推進、開発からマーケティング運用を担う。2021年にレインズインターナショナルに入社。デジタルマーケティング部の部長として、牛角・温野菜を中心にCDP構築・web広告・順番受付開発運用などを担う。2023年9月クラスメソッドに参画。
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