
明日から出来るマーケDX、“顧客の”身近なアプリ活用が鍵 [今月の注目ニュース]
デジタル上でのファン獲得の機会や手段が多様化した昨今、小売企業各社は、自社方針やキャラクターに合わせた試行錯誤を行っています。一方で多くの企業では「DXで顧客とのエンゲージメントを向上したいが、大規模投資は出来ない」という悩みを抱え、最初の一歩が踏み出せずにいます。
小売り×DXの気になるニュースを、リテール業界の現場経験が豊富なプリズマティクスのコンサルタントがチョイスしてお届けする「今月の注目ニュース」。今回は業務・システムコンサルタントの加藤が「明日からできる、顧客エンゲージメント向上のためのマーケDX」の取り組みをチョイス。顧客のロイヤリティ向上施策に向き合う実務家の視点から、コメントを交えて業界の潮流をご紹介します。
目次
1. 既存プラットフォームを駆使し、“顧客”を“ファン”にする「あみもの工房Sheepl」 2. インスタ動画を“資産”と捉え、Web接客にフル活用「ジョンブル」 3. 1人のファンも取りこぼさない、こだわりの顧客セグメンテーション「CHEESE WONDER」 4. まとめ1. 既存プラットフォームを駆使し、“顧客”を“ファン”にする「あみもの工房Sheepl」
●奈良の編み物店「あみもの工房Sheepl」は、Webプラットフォームを徹底活用
●InstagramやYouTubeに、編み物コンテンツを積極的に投稿
●noteのメンバーシップやDiscordを活用し、コアなファンコミュニティの形成にも注力
Webプラットフォームを駆使してファンマーケティング施策を行なっている「あみもの工房Sheepl」の取り組みを最初にご紹介します。使っているのはInstagramやYouTube、noteなど、身の回りにあるプラットフォームばかり。オープンな場からクローズな場へ、“顧客”を“ファン”にしていくコミュニティ戦略が秀逸です。
顧客接点をより良くするためのDX実現のためには、顧客をファンにしてくための仕掛けを考え、やり切ることが重要です。そこに、企業の大小やマーケ予算などは関係がありません。特別な投資などをせずとも、取り組みを積み上げ顧客期待に応えていくことが大きな変化を起こすことに繋がる。それを教えてくれる好例となっています。
2. インスタ動画を“資産”と捉え、Web接客にフル活用「ジョンブル」
●アパレルショップ「ジョンブル」は、ECサイトにWeb接客ツールを導入
●Instagramに投稿した店舗スタッフの商品紹介動画を、ECサイトでも“接客”として再利用
●コロナ禍で落ち込んだEC売上だが、動画閲覧施策が功を奏しCVRが1.5倍に
多くのSNSやメディアが乱立する現在、それぞれの専用コンテンツをつくるのは非常に手間がかかります。一方で、せっかくつくったデジタルコンテンツが、一度きりの利用に留まってしまうこともよくあります。
「ジョンブル」の取り組みからは、蓄積されたコンテンツを「資産」としてもう一度見直すことの重要さを教えられます。またこの事例からは、単なる再利用だけでなく、ユーザーが受け入れやすいタイミングを考え抜き、仕組みとして構築することも重要であることが解ります。
デジタルコンテンツは流用しやすいのがメリットです。自社内でこれまで積み上げてきたデータがあれば、それを元にした施策を検討してはどうでしょうか。
3. 1人のファンも取りこぼさない、こだわりの顧客セグメンテーション「CHEESE WONDER」
●チーズケーキ「CHEESE WONDER」は、毎週発売直後に即完売の人気商品
●通常の購入枠に加えて、LINE登録者専用の予約枠やメルマガ読者限定の販売枠を提供
●登録ユーザーを一緒くたにせず、登録期間に合わせて届けるメッセージを調整
「デジタルマーケティング」は「空中戦」と揶揄されることも多く、広く一般に向けたメッセージになってしまいがちです。しかしそれでは、誰にとっても刺さらない内容になってしまいます。メッセージを届けたい人が誰なのか、相手の属性を明確にすること。そして、その相手に届けられる仕組みをつくっていくことが重要です。
「CHEESE WONDER」は、顧客の属性によってセグメントマーケティングを行っていますが、このセグメントの仕方が独特です。
提供できる販売数が少なく、常に需要数が勝っているという商品特性から、「既に商品購入履歴のあるロイヤル顧客」から「未購入の一般顧客」まで非常にきめ細やかにセグメントをしています。また、希望の商品が購入できない場合に、他の商品をレコメンドすることでリピート率を高めるなど、“ファン”を増やすための施策が組み込まれています。
4. まとめ
顧客のロイヤリティを高めるプロジェクトや施策を素早く立ち上げ、活用を深化していくためには、既に顧客のスマホに入っているであろうアプリやツールをうまく使い、戦略的にアプローチしていく方法が有効です。
今回は、奈良、岡山、北海道の企業の取り組みをご紹介しました。近年は地方の組織からも、エッジの効いたチャレンジを見聞きすることが増えたように思います。少子化や人口減少に対する危機感が都心部とは比べものにならない地方では、このようなマーケティングの差別化は、生き残りに大きく影響してきます。
このようなチャレンジングな企業の取り組みに学んでいくことが、今後、DXを一歩前進させるためのキーとなるのではないか……そんなことも考えさせられる事例でした。
(構成・編集=プリズマ編集部)
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加藤 彰浩
(業務・システムコンサルタント)
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンを経て、2006年にベネッセコーポレーションに入社。採点サービスの物流基盤デジタル化プロジェクトを皮切りに、新規サービス立ち上げおよび既存サービスの維持・改訂におけるPM/PMOや商品責任者として、戦略立案から企画推進、システム開発、業務運用構築までを一貫して手掛ける。2022年11月クラスメソッドに参画。prismatixのコンサルタントを担当。
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