
クーポンは集客や売上アップに直結する販促手段です。しかし、せっかく配布しても「思ったほど利用されない」と悩むこともあるものです。
本記事では、クーポン利用率の現状や利用率が上がらない主な原因を解説し、実際に効果を上げた企業事例やすぐに実践できる7つの戦略を紹介します。クーポン施策を成功に導くためのポイントを押さえ、販促効果を最大化しましょう。
1.クーポン利用率の現状
クーポンは消費者の購買意欲を高める販促施策として多くの企業で活用されています。特にデジタル化が進む近年、紙媒体だけでなくアプリやメール、SNSなど多様なチャネルでクーポンが配布されるようになり、顧客の利便性も向上しています。
株式会社アイリッジの調査によると、物価高の影響もありアプリのクーポン利用率は90%ほどになります。ユーザーにとってお得なクーポンを配布することで、集客などにも好影響を与えます。
参考:iRidge
クーポン利用率の計算方法
クーポン利用率は以下のように計算します。
利用されたクーポンの数 ÷ 配布したクーポンの総数 × 100
たとえば1,000枚配布し100枚利用された場合、利用率は10%です。業界平均では10%以上が一つの目安とされています。
費用対効果の計算方法
費用対効果(ROI)の計算は以下のように行います。
(クーポン利用による増加売上 - クーポン施策コスト)÷ クーポン施策コスト
たとえば、クーポン利用による売上増加が50万円、クーポン施策コストが10万円の場合、ROIは4となります。なお、ROIが1未満の場合、コストが回収できていない状態です。
2.クーポン利用率が上がらない原因
ここからは、クーポン利用率が上がらない原因を解説します。自社の現状と照らし合わせて、課題がないかどうかを確認しましょう。
利用条件のハードルが高い
クーポンの利用条件が厳しすぎると、顧客は「使いにくい」と感じてしまいます。たとえば「3,000円以上購入で500円引き」や「特定商品のみ対象」など、条件が限定的だと利用を諦める人が増えます。
特に新規顧客やライトユーザーは、条件が複雑だったり、追加の手間が発生する場合、クーポン自体に魅力を感じなくなり、結果的に利用率が低下しやすくなります。
クーポンが認知されていない
クーポンを配布してもターゲット顧客に届いていなければ利用されません。メールやアプリの通知が埋もれてしまったり、店頭での案内が不十分だったりすると、せっかくのクーポンも活用されません。
さらに、クーポンの存在や利用方法が分かりにくい場合、顧客が気づかずにスルーしてしまうことも多く、結果的に利用率が伸び悩む大きな要因となります。
自社独自の魅力が弱い
クーポンの内容が他社と似通っていたり、顧客にとって特別感がなかったりすると、利用動機が生まれません。たとえば「10%OFF」など一般的な割引だけでは、価格競争に巻き込まれるリスクもあります。
独自性や限定性が感じられないクーポンは、顧客の印象に残りにくく、他のサービスとの差別化ができず、利用されにくくなります。
3.クーポン利用率を上げる7つの戦略
クーポン利用率を高めるには、顧客データを活用した戦略的な設計がポイントです。ここでは、実務で即活用できる7つの具体的な戦略を解説します。
ターゲットを明確にする
まず重要なのは、クーポンを配布するターゲットを明確にすることです。具体的には過去の購買履歴や年齢、性別、居住エリアなどの顧客データを分析し、反応が期待できる層を絞り込みます。
たとえば、初回来店者向け、リピーター向け、休眠顧客向けなど、目的ごとにターゲットを設定すると無駄な配布を減らし、利用率を効率的に高められます。
クーポンの種類と効果的な使い方を選ぶ
クーポンにはさまざまな種類があります。最も一般的なのは割引クーポンですが、ポイント還元型や1品無料クーポン、セット割引なども効果的です。
割引クーポンは新規顧客の獲得に、ポイント還元型はリピート促進に向いています。1品無料クーポンは「試してみたい」という心理を刺激し、来店動機を強めます。目的やターゲットに応じて、最適なクーポンタイプを選択しましょう。
クーポンの配布方法を最適化する
配布チャネルの選定も重要です。デジタル配布(アプリ、メール、SNS)は即時性があり、顧客のスマートフォン利用率が高い場合に有効です。店頭配布はその場での利用を促せます。
また、決済アプリと連携することで、利用ハードルを下げることも可能です。複数チャネルを組み合わせ、顧客の行動パターンやライフスタイルに合わせて配布方法を最適化しましょう。
利用条件を設定する
クーポンの利用条件は、利用率と売上への影響を大きく左右します。たとえば「1,000円以上購入で利用可能」「期間限定」「会員限定」など、条件を工夫することで購買単価の向上や会員登録の促進が期待できます。
ただし、条件が厳しすぎると利用率が下がるため、バランスが重要です。利用データを分析し、最適な条件を模索しましょう。
クーポンデザインを工夫する
クーポンのデザインも利用率に影響があります。シンプルで分かりやすい表現、視覚的に魅力的なデザイン、スマートフォンで使いやすいフォーマットが求められます。
アイコンや色使いで目立たせたり、利用方法をイラストで示すなど、直感的に理解できる工夫が効果的です。さらにモバイルフレンドリーな設計も意識してデザインを決めましょう。
特別感のある内容にする
限定数の設定や特別な体験の提供、選択式クーポンなど、希少性や体験価値を高める工夫が有効です。
「先着100名限定」「誕生日限定」「選べる特典」など、顧客が「今しか使えない」と感じる内容にすることで、利用意欲を刺激できます。特別感はブランドのファン化にもつながります。
配信タイミングを最適化する
クーポンの配信タイミングも重要です。季節イベントやセール時期、顧客の購買サイクルに合わせて配布することで、利用率が大きく向上します。
たとえば、給料日直後や週末、誕生日など、顧客の行動が活発になるタイミングを狙うと効果的です。また、リアルタイムの購買行動に合わせて自動配信する仕組みも活用しましょう。
4.クーポン利用率の測定と改善方法
クーポン施策の効果を最大化するには、定期的な測定と改善が不可欠です。ここでは、具体的な測定指標と改善手法について解説します。
クーポン利用率の測定
クーポン利用率は配布チャネル別、ターゲット別、期間別など、セグメントごとに集計すると課題が明確になります。また、利用率だけでなく、クーポン利用者の平均購入単価やリピート率も追跡することで、売上や顧客ロイヤルティへの影響を把握できます。
主要な効果測定指標
クーポン施策の成果を評価する際は、以下の指標を重視しましょう。
・クーポン利用率
・平均購入単価の変化
・リピート率の変化
・新規顧客獲得数
・クーポン利用者のLTV(顧客生涯価値)
これらを総合的に分析し、施策の有効性を判断します。
分析したいデータ
効果分析を深めるには、セグメント別の効果比較や時系列での傾向分析が有効です。たとえば、年代別・性別・エリア別などで利用率を比較し、どの層に効果が高いかを確認します。
また、A/Bテストを実施し、クーポン内容や配布方法の違いによる効果を検証することもポイントです。A/Bテストを行うと、最も効果的な施策を特定できます。
改善方法
データ分析の結果をもとに、クーポン内容や配布方法、配信タイミングを見直します。
利用率が低い場合は、利用条件を緩和したり、ターゲット層を変更したりするなど、柔軟に施策を修正しましょう。顧客の声やアンケート結果も参考にしながら、施策の最適化を目指してください。
PDCAサイクルの回し方
クーポン施策の改善にはPDCAサイクルが有効です。まずPlan(計画)で仮説を立て、Do(実行)で施策を実施します。Check(効果測定)で結果を数値で評価し、Act(改善)で次の施策に反映させます。
A/Bテストや週次レポートを活用し、効果の高い施策を水平展開することがポイントです。継続的な改善が、クーポン利用率の底上げにつながります。
5.クーポン利用率を上げた成功事例
クーポン活用で実際に成果を上げた企業の事例を2つ紹介します。
フレスコ株式会社
フレスコ株式会社は、アプリ内でのクーポン配信とニュース機能を組み合わせることで、クーポン利用率を従来よりも大幅に向上させました。アプリダウンロード促進施策も並行して行い、アクティブユーザー率も高い水準を達成しています。結果として、リピーター増加と売上向上を実現しました。
参考:フレスコ
株式会社ビジョナリーホールディングス
メガネスーパーを展開する株式会社ビジョナリーホールディングスは、コロナ禍で紙クーポンの受け渡しが困難になったことから、LINEを活用した新戦略を展開しました。クラスメソッドと開発した「アイケアアンバサダー」LINE公式アカウントでは、顧客がLINEを通じて友人や家族に口コミとともにクーポンを送れる仕組みを構築しました。
UI/UX設計の最適化により、ユーザーの利便性を高めた結果、リリース後3ヶ月間で紹介経由の売上が前年比150%に増加し、クーポン利用者の約65%が新規顧客となっています。

BOTEJYU Group ホールディングス株式会社
BOTEJYU Groupでは、LINE公式アカウントを活用したクーポン配信で49万人の友だちを獲得しました。紙媒体からデジタルへの移行で費用対効果が大幅に向上し、新規・リピーターともに増加しています。LINEミニアプリを活用することで、クーポンの即時配信や利用状況の可視化も実現しています。
6.まとめ
クーポン施策を成功させるには、ターゲットの明確化や最適な利用条件設定、効果的な配布方法がポイントです。成功事例からも分かるように、デジタル化によるコスト削減と顧客エンゲージメント向上の両立がカギとなります。
この課題を解決できるのが「fannaly」です。fannalyは顧客ロイヤルティ向上を支援する会員・クーポン・ポイント管理システムで、LINEミニアプリを活用し自在なクーポン施策を実現できます。
また、会員制度設計支援も実施しており、効果的なクーポンの使い方も含めた制度設計のご支援を行います。さらに、顧客側でアプリをダウンロードする必要がないため、顧客獲得のハードルを低減しつつ、複数チャネルの会員情報を一元管理できます。効果的なクーポン配信や顧客管理などを検討している場合は、ぜひ「fannaly」を活用してみてください。
プリズマティクスのサービス
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