プリズマジャーナルTOP会員(ロイヤルティ)プログラムとは? 成功事例や設計のポイントまで徹底解説
会員(ロイヤルティ)プログラムとは? 成功事例や設計のポイントまで徹底解説

会員(ロイヤルティ)プログラムとは? 成功事例や設計のポイントまで徹底解説

会員(ロイヤルティ)プログラムは、企業と顧客の長期的な関係構築に欠かせないマーケティング施策です。顧客の信頼と愛着を高め、継続的な利用を促すこのプログラムは、近年ますます注目を集めています。

本記事では、会員プログラムの基本概念から種類、設計のポイント、そして成功事例まで幅広く解説します。効果的な会員プログラムの構築を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

1.会員(ロイヤルティ)プログラムとは?

会員(ロイヤルティ)プログラムは、顧客との長期的な関係構築を目指すマーケティング施策です。顧客に特典や価値を提供し、ブランドへの愛着を深めることで、継続的な利用を促進します。

顧客ロイヤルティとは

顧客ロイヤルティは、顧客がブランドや企業に対して抱く信頼や愛着の度合いを指します。ロイヤルティの高い顧客は、競合他社の誘惑に負けず、継続的に商品やサービスを利用する傾向があります。

また、自発的に口コミを広げ、ブランドの擁護者となる可能性も高まります。企業にとって、顧客ロイヤルティの向上は安定した収益基盤の確立につながるでしょう。

ロイヤルティプログラムと会員プログラムの違い

ロイヤルティプログラムと会員プログラムは、しばしば混同されますが、微妙な違いがあります。ロイヤルティプログラムは、主に既存顧客の満足度向上と維持に焦点を当てます。

一方、会員プログラムは、新規顧客の獲得も含めた幅広い目的を持ちます。ロイヤルティプログラムがより戦略的で長期的な視点を持つのに対し、会員プログラムは即時的な特典提供に重きを置く傾向があります。

会員プログラムに関しては、以下の記事でも紹介しております。

会員(ロイヤルティ)プログラムが注目される背景

会員(ロイヤルティ)プログラムが注目を集める背景には、顧客維持の重要性とデータ活用の可能性があります。新規顧客の獲得コストが高騰するなかで、顧客の生涯価値(LTV)を最大化することが企業の持続的成長に不可欠です。

また、プログラムを通じて収集されるゼロパーティデータは、顧客理解を深め、パーソナライズされたマーケティングを可能にします。このデータは、顧客の同意のもと直接収集されるため、信頼性が高く、プライバシー規制にも適合しやすいでしょう。

2.会員(ロイヤルティ)プログラムの種類と特徴

会員プログラムにはさまざまな形態があり、業種や目的に応じて最適な設計が求められます。

ポイント型プログラム

ポイント型プログラムは、最も普及している会員制度の形態です。顧客が商品やサービスを購入するたびに、金額や頻度に応じてポイントが付与されます。貯まったポイントは、次回の買い物での値引きや特典と交換できる仕組みです。

シンプルで分かりやすい設計が特徴で、顧客は具体的な還元率を実感できます。たとえば、100円につき1ポイント付与し、500ポイントで500円分の商品券と交換できるといった形式が一般的です。また、期間限定ポイントや増量キャンペーンも顧客の購買意欲を高める効果があります。

会員ランク型プログラム

会員ランク型プログラムは、顧客の利用実績に応じて会員ステータスが上がる仕組みです。一般会員からゴールド、プラチナといった上位ランクへの昇格により、特典内容が充実します。上位ランク会員には、優先予約権、専用カウンター利用、限定イベント招待など、特別感のあるサービスが提供されます。

このプログラムの魅力は、顧客に目標を与え、ステータス向上への意欲を刺激する点です。航空会社のマイレージプログラムやホテルの会員制度で多く採用されており、顧客の継続利用を促進する効果が高いでしょう。

サブスクリプション型プログラム

サブスクリプション型プログラムは、定額料金を支払うことで特典やサービスを継続的に受けられる仕組みです。会員は月額や年額の料金を前払いし、その対価として割引や特別サービスを享受します。

たとえば、年会費を支払うことで送料無料、優先配送、特別割引などの特典が得られるAmazon Primeが代表例です。このモデルの強みは、企業側に安定した収益をもたらすとともに、顧客に定期的な利用を促す点にあります。また、会員の利用頻度が高いほど、顧客にとっての費用対効果も向上します。

ミッション主導型・社会貢献型プログラム

ミッション主導型・社会貢献型プログラムは、顧客の購買活動と社会的価値を結びつける新しい形態です。顧客が商品を購入すると、その一部が環境保護や社会貢献活動に寄付される仕組みを取り入れています。

具体的には「購入金額の1%が植樹活動に充てられる」「10回の利用ごとに発展途上国に文房具が寄付される」といった形式です。このプログラムは、社会的意識の高い顧客層に特に訴求力があり、企業のブランドイメージ向上にも貢献します。

顧客は消費行動を通じて社会貢献できる満足感を得られるため、情緒的なつながりが生まれやすいという特徴があります。

3.会員(ロイヤルティ)プログラム設計のポイント

効果的な会員プログラムを構築するには、戦略的な設計が不可欠です。顧客の期待を超える価値提供と企業目標の達成を両立させる仕組みづくりが成功の秘訣となります。

ターゲット顧客の明確化

会員プログラム設計は、ターゲット顧客の明確化から始まります。全ての顧客に同じ特典を提供するのではなく、購買頻度や金額に基づいたセグメント分析が重要です。

たとえば、RFM分析(最新購入日・購入頻度・購入金額)を活用し、優良顧客、成長見込み顧客、休眠顧客などに分類します。特に注目すべきは、売上の約8割を生み出す上位2割の顧客層です。

この層に対しては、特別な特典や優遇措置を設けるべきでしょう。また、中間層の顧客を上位層へ引き上げる施策も効果的です。顧客の行動パターンや嗜好を理解することで、各セグメントに最適なアプローチが可能になります。

魅力的な特典設計

会員プログラムで大切なのは、顧客にとって魅力的な特典設計です。特典は大きく「ハードベネフィット」と「ソフトベネフィット」に分けられます。

ハードベネフィットは、割引やポイント還元など金銭的価値のある特典です。一方、ソフトベネフィットは、優先案内、限定イベント招待、パーソナライズされたサービスなど、感情的満足を提供する特典を指します。

理想的な特典設計は、両者をバランスよく組み合わせることです。特に上位会員には、金銭では測れない特別感や希少性のある体験を提供すると効果的です。また、競合他社が提供していない独自性のある特典を開発することで、差別化を図れます。

参加しやすい仕組みづくり

どれほど魅力的な特典を用意しても、参加障壁が高ければ顧客は離れていきます。そのため、簡単な登録プロセスと分かりやすい仕組みづくりがポイントです。

たとえば、オンライン登録とリアル店舗での登録を併用し、顧客の好みに合わせた選択肢を提供してみるといいでしょう。また、会員証はスマートフォンアプリで管理できるようにし、常に携帯できる利便性を確保するのもおすすめです。

そして、プログラムの認知拡大には、SNSを活用した情報発信が効果的です。特典獲得の様子を投稿してもらうハッシュタグキャンペーンや会員限定コンテンツの一部をSNSで公開するなどの工夫も有効です。

継続的な効果測定と改善

会員プログラムは一度構築して終わりではなく、継続的な効果測定と改善が必須です。そこで、明確なKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に成果を検証してください。

主要なKPIとしては、会員数、アクティブ率、平均購入額、リピート率、NPS(顧客推奨度)などが挙げられます。データ分析からはどの特典が顧客に評価されているか、どのセグメントの反応が良いかなどの情報が得られます。

これらの分析結果に基づき、特典内容や提供方法を柔軟に調整していくわけです。また、定期的な会員アンケートを実施し、顧客の声を直接プログラム改善に活かす姿勢も大切です。

4.成功事例から学ぶ会員(ロイヤルティ)プログラム

さまざまな業界で成功を収めている会員プログラムには、顧客の心をつかむ工夫があります。これらの事例から、効果的な会員プログラムの設計について学びましょう。

ユナイテッドアローズ

ユナイテッドアローズは2023年に「UAクラブ」という新しい会員プログラムを導入しました。このプログラムでは、1円=1マイル(セール品は2円で1マイル)という還元率で「UAマイル」が貯まります。

注目したいのは購入だけでなく、オンラインストアでの商品お気に入り登録やショッピングバッグ辞退などの環境配慮行動でもマイルが獲得できる点です。年間獲得マイル数に応じて5段階のステージが設定され、ステージが上がるごとに特典が充実します。

全ブランド共通の会員ステージ制に変更したことで、顧客にとって分かりやすく、より魅力的な買い物ができる点がメリットです。
参考:UAクラブ会員特典 | ユナイテッドアローズ公式通販 -UNITED ARROWS LTD.-

ユナイテッドアローズ様を特別ゲストとしてお迎えし、「売上増加やリピート率向上」「顧客のロイヤリティ向上」といったビジネスの課題解決におけるデータ活用について詳しく解説いただいたオンラインセミナーの様子は、以下よりご確認いただけます。

ドコモ

NTTドコモの「dポイントクラブ」は、通信サービスの枠を超えた幅広いエコシステムを構築しました。貯めたポイントの数に応じて1つ星から5つ星までの5段階のランクが設定され、ランクが上がるごとにdポイント加盟店でのポイント進呈倍率がアップします。

2024年10月からの改定では、「d払い」を利用した際の特典を強化し、コード決済市場の拡大に対応しています。dポイントは、モバイルサービスだけでなく、オンラインショッピングや実店舗でも利用可能です。

また、データ分析に基づいた誕生日特典や利用行動に応じたパーソナライズされたキャンペーンを展開しています。
参考:ドコモのポイントプログラム「dポイントクラブ」を改定 | お知らせ | NTTドコモ

トヨタ

トヨタのロイヤルティプログラムは、「TOYOTAアカウント」を持つ顧客が参加できる優待プログラムです。このプログラムでは、アカウントの利用状況に応じて様々なデジタルバッジやスタンプを獲得できます。バッジには、車の契約で獲得できる「クルマバッジ」やトヨタ関連サービスの利用で得られる「サービスバッジ」などがあります。

また、顧客の行動パターンに合わせてオリジナルのバッジやスタンプが集まり、これらを集めることでリワード(特典)に応募することも可能です。リワードの応募条件はリワード詳細画面に記載されており、TOYOTAアカウントセンターにログインして確認できます。
参考:ロイヤルティプログラム|TOYOTA アカウントセンター

Marriott Bonvoy

Marriott Bonvoyは、世界142の国や地域でホテルを展開する世界最大級のホテルチェーンの会員プログラムです。入会は無料で、会員になると客室内Wi-Fi無料、会員限定料金、モバイルチェックインなどの基本特典が受けられます。

会員ステータスは「会員」から始まり、年間宿泊数に応じて「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」「チタン」「アンバサダー」と上がっていきます。上位会員になるほど、ボーナスポイント増加、レイトチェックアウト、部屋のアップグレードなど特典が充実します。

貯まったポイントは無料宿泊や航空会社のマイルへの交換に利用でき、日常生活でもMarriott Bonvoyアメックスカードでポイントを効率的に貯められます。
参考:会員レベル&特典 | ポイントの獲得と交換 | Marriott Bonvoy

Sephora Beauty Insider

2007年に始まったSephoraのBeauty Insiderプログラムは、化粧品業界で成功した会員制度の一つです。購入金額に応じて「Insider」「VIB」「Rouge」の3段階のランクが設定され、上位ランクほど特典が充実します。全会員に誕生日プレゼントを提供し、VIBとRougeメンバーにはより多くの選択肢と独占サンプルが用意されています。

また、オンラインフォーラム「Beauty Insider Community」の存在も魅力です。ここでメンバーは美容の知識を共有し、製品レビューを交換し、同じ趣味を持つ仲間とつながれます。また、ユーザーの美容の好みや外見的特徴にもとづいた商品提案も行っています。
参考:Beauty Insider | SephoraBeauty Insider Community

5.まとめ

会員(ロイヤルティ)プログラムは、顧客維持とデータ活用の両面で企業に有益な施策です。成功させるにはターゲット顧客の明確化、魅力的な特典設計、参加しやすい仕組み作り、そして継続的な効果測定と改善がポイントになります。

顧客のニーズと行動を深く理解し、それに応える価値を提供し続けることで、顧客ロイヤルティを獲得できるでしょう。

「具体的にどのような取り組みを実施すれば良いか分からない」、「効率的に顧客ロイヤルティを獲得したい」という方には「fannaly(ファンナリー)」の導入がおすすめです。プリズマティクス株式会社が提供する「fannaly(ファンナリー)」は、ロイヤルティプログラムの導入や、顧客との接点を充実させることに適した会員管理サービスです。コンサルティングサービスも行っているため、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

この記事をシェアする
Facebook