
ユナイテッドアローズ、ロイヤルティプログラム刷新後1年の成果とデータ活用〜11/27開催オンラインセミナーレポート
小売業界の業務支援をさせていただいているプリズマティクスは、2024年11月27日『ベイシア×ユナイテッドアローズに学ぶ!ビジネスの次の一手に繋げるデータ活用』と題したオンラインセミナーを開催しました。本記事では株式会社ユナイテッドアローズ OMO本部 デジタルマーケティング部CRM課課長 池田 沙貴子様をお迎えしたセッション内容にフォーカスし、ご紹介致します。
社内で蓄積されたデータを分析して次のビジネスの一手に繋げたい、顧客理解やパーソナライズなコミュニケーション施策の企画のためにデータを活用したいといった悩みをお持ちのご担当者様の、ご参考になれば幸いです。内容について更に知りたい、ご興味がある方へ向けて、動画アーカイブの配信もご用意しております。
是非ご覧ください。
共催:プリズマティクス株式会社、クラスメソッド株式会社
1.ロイヤルティプログラム刷新の課題感と経緯
ユナイテッドアローズは2023年8月、ロイヤルティプログラム「UAクラブ」の内容を大幅にリニューアルしました。ユナイテッドアローズには現在18ブランドあり、ハイエンドマーケット、トレンドマーケットと顧客層も様々ですが、これらブランド全てを通じての顧客、店舗、オンライン等も横断した共通IDとして、顧客一人一人にUAクラブ会員IDを付与しています。
「これまでは18あるブランドにブランドごとのポイントサービスがあり、それとは別にUAを通したポイントがあり、また会員ランクもいろいろ混在していて、お客様ご自身もスタッフも、今どういう状況で管理されているのかわかりにくい、複雑なプログラムになっていました。また年1回の購買層が7割という現実に対して、この圧倒的に多い顧客に対して貢献しないプログラムであることが課題となっていました」(池田様)
これまでの購買データを見ると、売上の7割が店舗顧客ということから、店舗での体験、コミュニケーション、コーディネート、試着といった“接客”にデジタルデータを活用出来るようにしました。また「何故ユナイテッドアローズの商品を選んだのか」というユーザーアンケートからは、商品に対する高評価を理由とする顧客が圧倒的に多かったため、商品の体験価値を上げていくための仕掛けをつくりたいと考えたそうです。
2.最も特徴的な新規の仕掛け「購買前のポイント付与」
これまでの顧客データを目指した新しい会員プログラムでは、1.ユナイテッドアローズならではの価値提供につなげる、2.理想的な顧客行動を促す、3.お客様が理解しやすく、意識的に利用出来るようにする、4.投資対効果に見合うプログラムとする、という4つのポイントを実現しようと考えた、と池田様は語ります。今回ユナイテッドアローズ様には、プリズマティクスの「OMO/CRMコンサルティング」にて、ご支援させていただきました。

「実際にプログラムをつくる時は、プリズマティクスのシニアコンサルタント金子さんと一緒にデータを見ながら、どういう方がどういう頻度で来ていただいているのか、その方にはどういうオファーを提供するのが良いのか、議論していきました。これまでは購買へのポイント付与だけでしたが、店舗やオンラインストア等での購買前アクション、お客様の“下見”データの取得に厚みを持たせることを目的として、購買以外の行動にポイントを付与する仕掛けを新たにつくりました」(池田様)
プログラム刷新にあたっては、システム開発費等を行う新たな“投資”が必要です。この投資が回収出来るのか、また費用対効果について検証するため、各ランク別に会員構成比がどう変化するかシミュレーションを重ね、マイルやクーポン支出も試算する等、緻密に計算した結果をもって刷新を決断、実施しています。
3.プログラム刷新から1年経たず“驚異的”な成果、顧客満足度もアップ
「今日は、2023年に新プログラムをローンチしてどのくらいの成果が上がったのか、購買前のアクションデータから新たに見えてきた顧客像について、お話しさせていただきます。IRに掲載している2024年5月時点のデータになりますが、アクティブ会員(年間1回以上の購買層)が前年比107%と伸びました。また課題であったF2転換率上昇にも非常に貢献し、リニューアルから1年経たず約3割から49.2%まで引き上げとなりました」(池田様)
プリズマティクスのシニアコンサルタント金子が、「驚異的な数字ですよね」と思わずコメントしてしまう程の成果です。金子は更に「プログラムのシミュレーションをしていたときの数値よりも、ずっと上振れて成果が出ていると思います。ビックリしました」と語り、刷新前の評価がいかにシビアに行なわれていたかが伺えます。
ユナイテッドアローズでは「アクティブ会員」とは別のKPIとして、2年連続購買する会員を「維持会員」として、この実績も大切な指標としていますが、こちらも前年比107%と上昇しました。アパレル業はコロナ禍で大きな苦境に立たされ、ユナイテッドアローズもその影響から逃れることはできませんでしたが、この「UAクラブ」刷新によりコロナ禍以前を上回る成果を得ることが出来ています。
「ユナイテッドアローズの強みは、店舗スタッフによる接客です。OMO戦略として、今後はこの『接客』を、デジタル上のパーソナライズ化で実現していくことを掲げています。この分析の元となる情報の一つとして、今回設定したアクションマイルは活用しています。お客様を中心として、今後も全包囲網でマーケティングを行い、あらゆるデータを見逃さず分析し、お客様のシグナルから働きかけをしていきたいと考えています」(池田様)
本セッションではユナイテッドアローズがリリースした9つの「アクションマイル」について、ある一ヶ月の実績数値をご紹介いただきました。アクションにポイントを付与したことにより増加した、年間お買い上げ額、お客様のロイヤルティプログラム参加実績、レビュー数などにおける、成果の実態を知ることが出来ます。本セッション全編は、クラスメソッドの「オンデマンドセミナー」にて全編を無料アーカイブ動画として配信中です。動画閲覧ページよりお申し込み頂き、ご覧ください。

2022年までのユナイテッドアローズのCRMにおける取り組みは、これまでにプリズマジャーナルにて掲載させていただきました。今回ご紹介した取り組みを、更に過去に遡って詳しく知りたい、という方は是非ご一読ください。


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