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デジタルで進化するスターバックスの顧客体験〜10/10開催オンラインセミナーレポート

デジタルで進化するスターバックスの顧客体験〜10/10開催オンラインセミナーレポート

デジタル技術の進化により、小売業界では顧客との関係性を強化するため、新たな方法の模索が求められています。プリズマティクスは2024年10月10日、「デジタルを活用した顧客体験」をテーマに、『スターバックスとシップスの顧客体験とデジタル活用』と題したオンラインセミナーを開催し、大変多くの皆さまにご参加、ご好評を頂きました。

本記事では、スターバックスコーヒージャパン株式会社 チーフデジタル トランスフォーメーション オフィサー 濵野 努様をお迎えしたセッション、「デジタルで進化するスターバックスの顧客体験」についてご紹介致します。
本セミナーの内容について更にご興味がある方へ向け、動画アーカイブの配信もご用意しております。
是非ご覧ください。

共催:プリズマティクス株式会社、クラスメソッド株式会社

1.「スターバックスリワード」プログラムリニューアルで活用の促進を

スターバックスをより楽しむことが出来る「スターバックスリワード」は、入会費・年会費のかからない会員サービスです。
2017年に立ち上げてより会員数は伸び続け、およそ7年で1500万を超える会員数を誇ります。
公式アプリや登録済みスターバックスカードからの購入で、「Star」がたまるプログラムとなっています。たまった「Star」は、カスタマイズeTicketやフード、オリジナルグッズ等と交換することが出来ます。

「会員獲得のためのプログラムを実施しているわけではないですが、最近加速度的に参加人数が増えています。このリワードプログラムは顧客のLTVやブランドとのエンゲージメント向上を目的として運用をしています。またそれに付随して顧客データ、購買データの蓄積を行っています。数万人規模の時には『顧客の顔が見えてくる』ということはありませんでしたが、最近は活用出来る状況になってきました」と、濵野 努様は語ります。

本プログラムは、2023年1月にプログラムリニューアルを行いました。リニューアルの背景として、ロイヤルティの高いお客様だけでなく、ライト層のお客様にもリワードプログラムを活用して欲しい、という思いがあったそうです。
スターバックスリワードでは、年間のStar獲得数に応じて、Green会員からGold会員に会員ステータスが変化します。Gold会員になるには250 Stars獲得が必要です。更にドリンク交換には、150 Stars が必要となっていました。250 Stars獲得も難しく、途中で諦めてしまう方がとても多かったそうです。

「2023年のリニューアルではハードルを下げ、Green会員であってもチケット交換が出来る仕組みにして、Star数が少ない状態であっても、カスタマイズチケットなどに交換が出来るようにしました。『マルチティア』と呼んでいますが、ティアを増やすことでお客様の状況に合わせて交換出来るようにしました。他にも、オリジナルグッズを用意したり、Gold会員のみになりますが、お誕生月にバースデーリワードの提供、また月に一度は「Star」が二倍付与されるダブルスターDayなどをつくりました。このような仕組みのお陰で、会員加入のキャンペーンをしなくても、早いスピードで会員化が進んでいると考えています」(濵野様)

2.その他のデジタルサービス紹介

スターバックスは、「スターバックスリワード」以外にも多くのデジタルサービスを実施しており、濱野様からそれぞれについて詳しい説明がありました。そのどれもが顧客とのロイヤルティ向上や、顧客それぞれへの最適なサービス提供を目的としたものであることが分かる内容となっていました。ここではその中から2つについてご紹介します。

Personalized Offer

2023年9月から、お客様を細かくセグメントし、それぞれに合わせた条件でのキャンペーンを実施しています。それまでは全ての顧客に対して同じ条件でキャンペーンしていましたが、来店頻度や購買状況はそれぞれ違います。それぞれのセグメントに合わせたリワード設定にするなど、工夫をしているとのこと。
「近い将来には1to1、お客様ごとの状況に即したキャンペーンが出来るようにしたいと思っています」(濵野様)

Mobile Order & Pay

スターバックスにご来店されるお客様から頂くお声の中でも、「レジまでの長い列、混雑」に対する課題は非常に強いものであったそうです。そこで2019年、レジに並ばず決済&受け取りできる「Mobile Order & Pay」を導入しました。「スピーディな注文が出来ることはもちろん、お客様が自分のペースでゆっくりメニューを考えていただけるのもメリットです。実際に、レジオーダーよりもカスタマイズ率は30%程上がっています」(濵野様)

3.自社の強みを、デジタルテクノロジーを使って最大化する

多くのデジタルサービスを積極的に取り入れているスターバックスですが、サービス設計においては自社の強みを見極め、何を取り入れるか、またどのようにバランスを取るのか、慎重に考えて設計しているというお話がありました。

「全てがスムーズに終わるのがよいのだ、という考えで進めてきましたが、ロイヤルティを高めるためにはフリクションも必要かなと最近は思ったりしています。“使いづらい”というフリクションではなく、超えていただかないといけない何か ──ハードルのようなものですね」(濵野様)

例えば、スターバックスには各店舗ごとにオリジナルのデジタルスタンプがあり、購入するとマイストアに記録される「マイストアパスポート」というコンテンツがあります。これは前述の「Star」と違い、スタンプを集めても実質的な利益はありません。また「実際に店舗に足を運ぶ」という大きなフリクションがあると考えられます。ところが大変多くの方がこのスタンプを楽しんで集めており、またこれを集める過程で顧客の「スターバックスへの好きが高まっていく」「参加している、という気持ちが高まっている」と濵野様は分析しています。

「スターバックス最大の価値は、店頭で顧客に向き合っているスタッフ、つまり“人”だと思っています。この強みを、デジタルテクノロジーを使って強めるということに気をつけて、サービス設計しています。デジタルテクノロジーというのは、機能的価値は作りやすいですよね。でも“スターバックスらしさ”というのは、テクノロジーではなく情緒的価値から生まれ、高まるもの。デジタルテクノロジーと顧客の間に人を介在させる、また最終の出口が人になっているということが重要だと思っています」(濵野様)

本セッションの全編は、プリズマティクスの「動画閲覧」にて全編を無料アーカイブ動画として配信中です。

動画閲覧ページよりご覧ください。

プリズマ編集部

「the engagement commerce platform for wow! experiences」をコンセプトに、小売業における顧客エンゲージメント向上の支援、戦略的OMOを実現するプラットフォーム提供を行うプリズマティクス株式会社が運営する、オウンドメディア『プリズマジャーナル』編集部。

『プリズマジャーナル』では、プリズマティクスで活躍するコンサルタントが執筆するコラム「徒然ジャーナル」、業界の先端を走り続けるプリズマティクスアドバイザーからの寄稿文など、小売業の皆様に向けて伝えたいこと、耳寄りな情報などをお送りします。

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