今回は、よく耳にするLINE会員証とネイティブアプリについて、その関係性をできるだけ簡単に説明していきます。
1.LINE会員証とは何か?
LINE会員証は、LINEアプリ内で利用できるデジタル会員証サービスです。みなさんのLINEアプリ内で利用できます。従来のプラスチック製の会員カードをスマートフォン上で再現したものです。
企業や店舗は、顧客管理やポイント付与、クーポン配布などを簡単に行うことができます。消費者にとっては、物理的なカードを持ち歩く必要がなく、スマートフォン1台で複数の会員証を管理できる利便性があります。
LINE会員証の主な特徴:
●既存のLINEユーザーであればそのままLINEアカウントを利用できるため、新規登録の手間が少ない。
●企業側の導入コストが比較的低い。
●LINE上でのプッシュ通知による情報発信を、直接ユーザーに届けることができる。
●ネイティブアプリと比較して削除されにくく、たまにしか利用しないユーザーでも利用しやすい。
LINE会員証の最大のメリットは、会員登録の壁を低くできることです。
最大の壁である、会員情報登録とログインをLINEで友達追加するだけで会員証が発行するなどができるため、ユーザーにとって非常に手軽で、最初の大きな壁を突破することに特化しています。
2.ネイティブアプリはロイヤルティの高いお客様が利用されている
一方、ネイティブアプリは、iPhoneやAndroid専用に開発されたアプリケーションのことです。企業が独自に開発するため、より高度な機能や独自のデザインを実現できます。
ネイティブアプリの利用者の特徴:
●そのブランドやサービスへの愛着が強い
●アプリを頻繁に利用する
●アプリをダウンロードする手間を厭わない
●より多くの機能や特典を求める
ネイティブアプリのユーザーは一般的にロイヤルティが高く、企業にとって重要な顧客層となっています。
3.LINE会員証とネイティブアプリ、どちらを選ぶべき?
この問いに対する答えとしては、「両方」があるとなおよいです。LINE会員証とネイティブアプリは競合関係ではなく、補完関係にあると言え、多くの企業がLINE会員証とネイティブアプリの両方を並行して運用する傾向にあります。
顧客セグメンテーション
・ライトユーザー向け:LINE会員証
・ロイヤルカスタマー向け:ネイティブアプリ
顧客獲得と育成
・LINE会員証で新規顧客を獲得
・ネイティブアプリへの移行を促し、ロイヤルティを高める
多様なニーズへの対応
・顧客の利用シーンや好みに合わせた選択肢を提供
データ収集の最適化
・両方のプラットフォームからデータを収集し、より精緻な分析を行う
代表的な事例としては、3COINSを擁するアパレルのPAL CLOSETが、PAL CLOSETアプリを持ちながら、「QRから5秒でポイントが貯まる」という広告でLINEミニアプリの会員証サービスを利用しています。
ステップアップの考え方
LINE会員証は、ユーザーを獲得する入口として機能します。LINEで獲得したユーザーに対して、情報収集を行い、蓄積させることで、ロイヤルティが高いお客様をみつけ、その方に対して最適なステップアップのシナリオを描くことが可能になります。最初の一歩としてのLINE会員証は手軽であると言えます。
一方でライトユーザーに固定する人は存在する
LINE会員証のみを利用し続ける「ライトユーザー」も一定数存在します。
●アプリのインストールを避けたい
●複数のアプリを使い分けるのが面倒
●LINE上で完結する利便性を重視
●ブランドへの関与度が比較的低い
すべてのユーザーが同じニーズを持っているわけではありません。LINE会員証だけで十分な「ライトユーザー」もいれば、より多機能なネイティブアプリを求める「ヘビーユーザー」もいます。両方を用意することで、幅広いユーザーのニーズに応えられます。
両者の特性を理解し、自社の戦略に合わせて効果的に活用することが重要です。
顧客のライフサイクルや関与度に応じて、適切なプラットフォームを提供することで、顧客満足度の向上と企業価値の最大化を図ることができるでしょう。
執筆者プロフィール
田中 由希子
デザイナー
印刷、WEB、MDMベンダーを経て2016年5月にClassmethod入社。2020年心理学専攻で大学卒業。銀座コーチングスクール卒。UX Japan Forum 2015運営委員、UXシンポジウム2016福岡運営メンバー。クラスメソッドでは、エンタメ企業アプリ、薬局アプリ、小売アプリ、ハイブランドアプリほかCX OREDER、LINE miniアプリまたは、管理画面のデザイン・体験設計に従事。
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