プリズマジャーナルTOPデータから如何にして価値を生むか〜最新事例にみる視点の持ち方〜 [プリズマコンサルの注目ニュース]
データから如何にして価値を生むか〜最新事例にみる視点の持ち方〜 [プリズマコンサルの注目ニュース]

データから如何にして価値を生むか〜最新事例にみる視点の持ち方〜 [プリズマコンサルの注目ニュース]

# データ分析 # システム導入 # サプライチェーンマネジメント # 業界課題

技術の進歩と共に、小売業サービス業においては膨大な種類・量のデータを取得できるようになりました。かつての主流であるPOSデータだけでなく、顧客IDを起点としたチャネル横断のユーザーの行動を補足することは今やスタンダードになりつつあります。また直接的な販売だけでなく、需給予測に関わるデータとして最近では「日本気象協会が2年先長期気象予測の提供を開始した」なんて発表もありました。最早データ活用なくしてビジネスを語れない時代になってきています。

今回はそんなデータにおいて、メーカー・卸・小売というサプライチェーンの主要登場人物それぞれに視点を当てて、データ活用の最新事例を取り上げてみたいと思います。

1.データのもたらす価値の範囲は広い

●メーカーによる独自の需給予測システムは、年間6,200万ケースの出荷データ等から予測することが可能。
●AIの予測に専門員のチェックを組合せ、工数を削減しながら精度を引き上げた。
●これにより、年間6000時間近い業務削減効果があるとされた。

需給予測システムの導入効果として、業務時間軽減は分かり易く、クローズアップされがちです。しかし、システム化によりデータの精度が高まり得られる恩恵を忘れては、正確な費用対効果を考えることはできません。

今回紹介した例では「人件費約6000時間の削減」以外に、記事内でも触れられている「配送の集中を防ぐことによる配送費の削減」や「チャンスロス防止による売上げ・回転率の向上」「倉庫在庫の適正化による管理費の圧縮」等が取り上げられています。

費用面においてもシステム開発には莫大な費用が掛かるイメージがありますが、最近ではマイクロサービスとしてのSaaS開発の勢いが目覚ましく、要件がはっきりしていれば費用を抑えられる可能性があります。

自社のデータ活用を検討される際は、一度データが生む価値を棚卸した上で、費用対効果の試算をしてみてはいかがでしょうか。

2.データ活用をサプライチェーンの視点で

●米ウォールマートは、小売自社データや提携関係先から得られる第三者データで、情報提供プラットフォームを運営。
●パートナー企業向けに、有料・無料プランを用意しサービスを展開している。
●提供情報はデータ自体や顧客インサイト、分析リポート等で、協業における意思決定に利用されているとのこと。

米ウォールマートの運営する情報提供プラットフォームは、大手サプライヤーの90%が有料版を契約しており収益も好調なようです。注目したいのは、データを小売側でとどまらせず、サプライチェーンの上流に戻して業界としての収益増を目指している点です。

小売業にとって購買や行動データは経営資源でもありますが、一方でサプライチェーンを遡って共有することで価値を生むこともあります。データを基に卸しの業務や商品自体が改良されれば、結果としてサプライチェーンの上流から下流まで全員にメリットのある構図を作れます。

ウォルマート程の規模がなかったとしても、例えば実売データと併せて現場におけるお客様の興味関心の傾向や動きなどを知れるだけでも、メーカーにとっては非常に価値のある情報になり得ます。御社の持つデータは、サプライチェーンのステークホルダーにとってどのような価値を生む可能性があるでしょうか。

3.データ活用を業界の視点で

●メーカー・卸が協力し、物流データを連携することで2024年問題対策に取り組んでいる。
●企業毎に異なっていたシステムを統合し、全国1,000以上の物流拠点や荷物情報をデータ化した。
●目視検品を排除し、荷降ろしと入庫待ちの時間を半分程度に抑えることが可能に。

競合とも呼べる立場の企業同士が手を結んで、業界課題への取組みとしてデータ活用するということが、今度は一般的になってきそうです。2024年問題のような、業界全社に関わる課題や業界特性への取り組みに関しては、競合他社と協力して対策を打つ方が、差別化以上にメリットが大きい場合があります。

普段は業界内での自社の差別化要素を意識するあまり、競合他社を敵対関係の図で捉えてしまいがちです。しかし業界単位で見ると、同じ課題を抱えている可能性は非常に高い。1社では難しいことも、複数社が協力すれば規模の経済性を利かして対応できることもあります。御社の業界課題の内、複数社で取り組むことで解決できそうな課題はないでしょうか。

4.まとめ

ここまで様々なデータ活用の事例について触れてきましたが、足元の話でいくと御社のデータ活用状況はいかがでしょうか。弊社に持ち込まれるご相談で良くお伺いする課題に以下のようなものがあります。

– 顧客データを取得できていない(チャネルを超えた取得や購買以外のデータなど)
– データが活用できる状態に整理されていない(サイロ化や一時的な利用の積み重ねなど)
– データ活用についての知見がない(業界内事例や自社特性を踏まえた目的設定の手法など)

これらは情シスや営業、商品部などで担当者の方がデータ活用を検討するに当たり、よくぶつかる課題でもあり、同時に先が見通しづらく、データ活用をあきらめ易い課題でもあります。

プリズマティクスでは、これらの課題に対して有効な手段の提供や伴走が可能です。まずは壁打ち相手としてのご相談のみも可能ですので、下記よりお気軽にお問合せ下さい。

中西 悠太

中西 悠太

コンサルタント

株式会社しまむらにて店舗運営と商品部を担当。2017年に株式会社カーブスジャパンに入社し、オンラインフィットネスの立ち上げに参画。サービス構想、システム開発、デジタルマーケティング、プロジェクトのローンチを経て、別の新規事業開発にジョイン。

ビジネスモデル、店舗運営や各施策開発、CRMの検討に携わり、サービスの主軸となるシステム開発はPMとしてプロジェクトをリード。その他 施策開発、物件開拓、店舗レイアウト、人材育成など複数業務のリードを経験し、2023年11月クラスメソッドに参画。

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