「推し&リピ」買い続けていただく仕組みと工夫〜1/19オンラインセミナー登壇レポート
プリズマティクスは2024年1月19日、Repro、クラスメソッドと「『推し&リピ』買い続けていただく仕組みと工夫」をテーマにしたオンラインイベントを開催しました。本イベントではゲストスピーカーに株式会社ZENB JAPAN マーケティングマネージャー西村氏、DINETTE株式会社 CMO斉藤氏を迎え、またクラスメソッド株式会社ビジネスコンサルティング部 部長 兼 プリズマティクス株式会社 シニアコンサルタントの金子がモデレーターとして登壇。三者三様の多様な業務経験から、現在の仕掛けづくりにおけるトレンドの一端をご紹介しました。
自社ブランドについて「この商品、サービスが好き!」「他の人にもおススメしたい!」とユーザーに思って貰う為に、各社様々な取り組みや工夫がなされています。自社ECでの購入者数を増やしたい、LTV向上に課題がある等、お悩みの担当者の方々に多くご参加いただき、質疑応答も活発に行われた本イベント。本記事では、その内容についてレポートをお届けします。
1.ブランド概要と販路、マーケティング
DINETTEとZENB JAPANという、商材もマーケティングへの取り組み方も全く違う2社。まずはそれぞれの事業内容やビジネスモデル、マーケティング施策、ブランド認知についての取り組み等について、詳しく伺いました。
斉藤圭氏がCMOを務めるDINETTEは、美容メディア発のD2Cコスメブランド。女性たちの「あったらいいな」という声に応えてオリジナルコスメの開発を行っています。代表である尾崎氏はビューティー特化型メディア「DINETTE」の運営でファンを増やし、まつげ美容液の開発で会社を大きくグロースさせました。2019年にはD2Cコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」の展開を開始。2021年のコロナ禍に初の直営店を有楽町マルイにオープンさせています。
「私は創業時から少し経ってからジョインしました。SNSバズをつくることや商品の魅せ方については、代表の尾崎の熱量は凄まじいものがあり、まさに“才能”だと思っています。SNSを軸にダイレクトマーケティングでやってきたところに、私が持っているデジタル広告の手法を加え、現在は“PHOEBE”というブランド認知を広めていけるように施策を進めています」(斉藤氏)
ミツカングループから生まれた新規事業ZENB JAPANは、ウェルビーイングな⾷⽣活を提案する新ブランド。素材の栄養をまるごとおいしく食べることを提唱し、100%黄えんどう豆だけで作った「ゼンブヌードル」をはじめ、動物性原料や添加物に頼らない味作りをしてきました。販路はEC中心となっており、常設の店舗はありませんでしたが、2023年には初の期間限定店舗「ZENB STORE」が代官山でオープンするなど、ブランドと顧客とのリアルな接点作りも力を入れていると、マーケティングマネージャー 西村林太郎氏は語ります。
「ミツカンは認知が比較的高いのですが、ZENBは全く認知がない状態からスタート。コンセプトは良いものが出来たと思っていたのですが、ローンチ時は全く商品が売れずに焦りました。その1年半後に発売したのがゼンブヌードルです。“豆の麺”というものが当時珍しかった為か、メディアに取り上げて頂く機会があり、またデジタル広告の効果も合わさって認知が上がっていったと思います。現在は、買っていただいたお客様の、購買後のフォローを手厚くしながら、長く使っていただけるコミュニケーションをしています」(西村氏)
2.ブランドのファン層と、TLV向上の指標設定
DINETTEとZENB JAPANの共通点をひとつ挙げるとすれば、販路やマーケティング、ファンとのコミュニケーションの中心となる場が、SNSやECからスタートしたD2Cブランドであることです。このような特徴を持ったブランドの“ファン”は、どのような方々なのでしょうか。また、ブランドとファンとのコミュニケーションを、各社どのように取り組んできたのか、お二人にお伺いしました。
「DINETTEはもともとInstagramで運営していたメディアでした。ここにコスメ好きな女性が集まってコミュニティが出来上がり、そこから事業が始まったという経緯があります。またブランドとしてのメディアの他に、代表の“尾崎美紀”というメディアもあります。この、SNSでやっていた1to1のファン形成というものは今でも継続していて、今も一人一人から来たメールに尾崎が対応しているんです。見ていてとても大変なことだとは思うのですが、ここがファン形成のブレないポイントの1つではあるので、これを自動化することは今のところ考えていません」(斉藤氏)
一方で、斉藤氏が得意とするデジタル領域でのデータ計測や分析によるマーケティングも進めており、インタビューもし始めているとのこと。モデレーターの金子が「LTV向上の指標として、何を重要視していますか」と聞くと、ECでの購入単価や商品ページの閲覧数等という指標に加え、ブランド名である「PHOEBE」というワードの検索数を定量的に計測し、指標にしているとの答えがありました。ブランド認知そのものが上がることで、売上やLTV向上も比例していくはずとの考えのもと、この取り組みを全社で始めているそうです。
これを受けたZENBの西村氏は「似たところがあるなと思って、お話うかがいました」と、認知率や購入単価を増やす取り組みをしていることを語ってくださいました。購入単価アップについては、単純に「もう一つ買ってくれ」というレコメンドではなく、商品を組み合わせて選べるようにしたりすることで、お客様が納得して購入出来るような工夫を心がけているとのことです。
「ひとくちに“ファン”といっても、いろいろな方がいらっしゃる。アンバサダーとして情報発信してくださる方も“ファン”だし、それらの情報を受け取ってくださる方も、淡々と定期的に買い続けてくださる方、皆さん“ファン”だと思います。食品は化粧品と比べるとどうしても特別感が少なく、熱量高い『ファンです!』という方を多く、というのは難しい。『ついついコレを食べてしまう』『自分の人生にあった方がいい』と感じてくださるようなブランドになれれば、と思って取り組んでいます」(西村氏)
3.買い続けて頂く前段階、「まずは使っていただく」ことのケアを
LTV向上のKPIとしてEC売上の様々な数値を指標としているお話がある中、ZENBの西村氏からは購入回数についても指標があると語られました。金子から「購入回数の目安は何回に設定していますか」と質問すると、4回程度という回答がありました。
「業界や業種によって、何日、何ヶ月のサイクルで購入するのかという目安は違うと思うんですが、弊社は食品ですので1ヶ月に1回程度の購入、これが4回続くと、あとはあまり頻度が落ちないと感じています。更に最近は、“一旦お休み”というステータスに入った方というのが、意外と、戻ってきてくださるんだということがわかってきました。そこで、連続しては買わないかもしれない、という前提でKPIを立てようとしています」(西村氏)
「DINETTEも似たような感じで、購入が安定する目安となるのは4回ですね。社内では2回目のお客様をいかに3回目に繋げるか、重要視しています。また化粧品は“使う”ということがないと、その後続いて買って頂くことが出来ません。買った後に“まずは使ってもらう”ということが重要です。これを促進するために、購入時の同梱物に使用方法を書いたものを入れることや、ホームページで使用動画を差し込んでおく等しています。こういうものって、あまり見られていないようで、データを計測すると、見られているんですよね」(斉藤氏)
これを受けZENBの西村氏からも、購入した食材を美味しく食べ続けていただくため、また使い切って頂くように促すために、レシピ等を出しているとのコメントがありました。最も基本的な「ゼンブヌードルの茹で方」から、一般的な家庭に常備していそうなものだけを使ったアレンジレシピ、季節の食材を加えたアレンジレシピ等を、同梱物で配ったり、SNSで配信したりしているそうです。
イベントではこれらのパネルディスカッションに加え、参加者から登壇者へ多くの質問が投げかけられました。この2社がユーザーコンテンツ(UGC)やSNS活用について重視していることから、「利用するSNS、投稿頻度、情報のキャッチアップ方法などを具体的に教えてください」 「UGCを回していくためにはSNS活用が大切ですが、運用リソース不足が懸念点です。どのSNSを使うべきか、投稿頻度はどれくらいがいいのか、ご教示ください」といった、課題や悩みが多く寄せられました。また、新規顧客獲得と既存顧客のロイヤル化注力について、割合の変化はどうかといった、今まさに成長しているブランド担当者だからこそ聞いてみたい質問も多く見られました。
ゲストのお二人からはそれぞれが実施してきたお話を頂き、またコンサルタントとして多様な小売企業支援をしてきたオブザーバー金子からは、業種や商品の特性からくる運用の違い、メディアごとの得意分野、活用方法の違いについてお話しさせていただきました。ご参加いただいた方々の積極的な質問により、イベントならではの現場感あるお話を沢山伺うことが出来ました。
本イベントの様子は、プリズマティクスの「動画閲覧」にて無料アーカイブ動画として配信中です。下記動画閲覧ページよりお申し込み頂き、是非ご覧ください。
「the engagement commerce platform for wow! experiences」をコンセプトに、小売業における顧客エンゲージメント向上の支援、戦略的OMOを実現するプラットフォーム提供を行うプリズマティクス株式会社が運営する、オウンドメディア『プリズマジャーナル』編集部。
『プリズマジャーナル』では、プリズマティクスで活躍するコンサルタントが執筆するコラム「徒然ジャーナル」、業界の先端を走り続けるプリズマティクスアドバイザーからの寄稿文など、小売業の皆様に向けて伝えたいこと、耳寄りな情報などをお送りします。
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