プリズマジャーナルTOP社内ツールのリスト化、利用状況の把握が第一歩【外食企業で“デジマ”を始める!】環境整理編
社内ツールのリスト化、利用状況の把握が第一歩【外食企業で“デジマ”を始める!】環境整理編

社内ツールのリスト化、利用状況の把握が第一歩【外食企業で“デジマ”を始める!】環境整理編

「外食」には、ファーストフード、寿司、ラーメン、焼肉、ステーキ、ハンバーグ、イタリアン、居酒屋など数多の業態がありますが、そのマーケティングや業務効率化には「外食」業種特有の課題がネックとなり、デジタル領域を活用しきれていない企業が多く見られます。外食企業が「デジタルマーケティング」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を始めるには、どうしたらいいのでしょうか。

「外食企業にてデジタルマーケティング(略称:デジマ)を始めるには何をどうすれば!?」とお悩みの担当者の方々へ、これまで私が外食チェーンストアにおけるデジタルマーケティング・DXの部門を立ち上げ、戦略立案・企画推進、開発からマーケティング運用を担ってきた業務経験から、道案内となるような連載をスタートします。初回となる本記事は、「環境整理編」です。

1.ユーザー接点となっているツールのリスト化

まずはご自身の社内環境がどうなっているかを整理し、その後、どうあるべきかの議論に移っていきましょう。

最初に、担当する業態において、ユーザーとの接点になるツールを整理します。使っているツールを、全てリスト化してください。主立ったものとして、下記のようなものがあるのではないでしょうか。

○アプリ
○LINE
○公式サイト
○SNS(X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、Facebook等)
○GBP(グーグルビジネスプロフィール)
○Web広告
○チラシ
○予約(または順番受付)
○グルメサイト(食べログ・ホットペッパー等)


利用しているツールのリスト化が終わったら、それぞれについて年間費用を追記してください。また、会員数・配信数・来店組数などを算出して、獲得コストも記載します。数値が出せるものだけで良いので、まずは全て年間の数値を出してみてください。リストのサンプルイメージをご紹介します。

2.データ集計・分析ツールのリスト化

続いて、1で挙げたツールについて集計や分析をどのツールでしているかの確認をしていきます。例えば、アプリの会員データやPOSデータの数値を集計しているツールはどれか、分析ツールは何か、という確認になります。

リスト化のサンプルイメージは下記のようなものになります。

この段階で最も問題になるのは、「“この”ツールで、結局のところ、何組来店させているのか」が明確に可視化されていないケースです。

外食チェーンストアでは、どのツールを使ったとしても、最後は来店組数を計測できているのかが、必ず問われます。そこで、POS連携の環境整備をしてください。

各ツールの来店組数として、例えば、下記のような確認が必要です。

●アプリ

・会計時にポイント付与(またはスタンプ付与)などでチェックインが計測できているか。
・クーポン利用数はPOS上にも集計されているか。

●LINE

・LINE専用のクーポンがPOS上にも集計されているか。
・LINEミニアプリでチェックインを集計されているか。

●公式サイト、GBP、SNS、web広告、チラシ

・各専用のクーポンがPOS上にも集計されているか。

ツール別、施策別で全て同じQRコード等を使ってしまうと、どのツール経由でお客様が来店したのかが不明になり、各ツールの費用対効果がわからなくなってしまいます。本来であれば、計測するクーポンのQRやバーコードの番号を、それぞれ振り分けする必要があります。

このように現状のツールと集計や分析の環境を整理していくと、どのツールにいくら支払っていて、どのツールが来店につながる費用対効果が高いのか、可視化されていきます。

3.リスト化が終わると、課題が見えてくる

全てのツールの利用状況をリスト化するのに2週間以上かかるかもしれませんが、まずは可視化しないと次に進めないので、粘り強く集計してください。リスト化することで現状の課題把握が出来るだけでなく、今後どうあるべきか、手法の決定にも繋がっていきます。

リスト化が終わると、下記のような課題が見えてくるでしょう。

●アプリ

・会員数は増えているが、来店組数をどうやって増やせるのかわからない。
・どんな分析をしたら良いかわからない。
・他のツールとの連携がわからない(分析含む)
・アプリの機能がこのままでよいのかわからない。

●LINE

・期間限定やキャンペーンで配信しているが、どれくらい来店しているかわからない。
・顧客データの分析方法や課題改善に活用できていない。
・従量課金だけが高額になる(または配信量を抑える)。

●公式サイト

・どれくらい来店に寄与しているかわからない。
・SEOがどれくらい良いのかわからない。
・サイト構成がどうあるべきかわからない。

●SNS(X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、Facebook等)

・どれくらい来店に寄与しているかわからない。
・フォロワー数、いいね数などのエンゲージメントが増えない。
・どんな投稿が来店に効果あるのかわからない。

●GBP(グーグルビジネスプロフィール)

・どのような対策をすれば、MEOがよくなるのかわからない。
・運用ツールがあれば、どうなるのかもわからない。

●Web広告

・どれくらい来店に寄与しているかわからない。
・どのweb広告の組み合わせが良いのかわからない。
・web広告用のバナー、LP、動画、の作成があまり良くない。

●チラシ

・どれくらい来店に寄与しているかわからない。
・新規顧客、既存顧客、どちらにどれくらい配布しているのかわからない。
・どの地域にどれくらい配布するのが良いのかわからない。(配布すれば効果あると錯覚する)

●予約(または順番受付)

・自社顧客としての予約に繋がっているのかわからない。
・グルメサイト脱却に繋がっているのかわからない。
・どの予約ツールを使うのが最適なのかわからない。
・自社予約ではなくて、グルメサイトに依存している。

●グルメサイト(食べログ・ホットペッパー等)

・グルメサイトの効果が良いのかわからない。
・自社予約に切り替えても支障ないのかわからない。

課題は他にも色々あると思います。

せっかく導入しているツールでも、「とりあえず導入している」「先任者しかわからない」等の理由で最大限活用しきれていないことが多々あります。利用状況をしっかり精査することで、本当に必要なツール、伸ばすべきツール等を可視化することが出来ます。

次回は、自社サービスの「顧客化」に向け必要となってくるツールの精査、整備について、詳しくお話しさせて頂こうと思います。

清水 圭介

執筆者プロフィール

清水 圭介
コンサルタント

株式会社EPARKを経て、2018年に物語コーポレーションに入社。外食チェーンストア(焼肉きんぐ・丸源ラーメン・ゆず庵)におけるデジタルマーケティング・DXの部門を立ち上げ、OMO構想からCDP構築を軸にアプリ・web開発からマーケティングまで網羅した戦略立案・企画推進、開発からマーケティング運用を担う。2021年にレインズインターナショナルに入社。デジタルマーケティング部の部長として、牛角・温野菜を中心にCDP構築・web広告・順番受付開発運用などを担う。2023年9月クラスメソッドに参画。

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