ファンを増やす「グッデイ流」デジタル活用術 〜6/7開催オンラインセミナーレポート
プリズマティクスは2023年6月7日、小売業・外食業向けウェビナー、グッデイ、吉野家、エイチ・ツー・オー リテイリングに訊く 「顧客とつながるデジタルコミュニケーション、ファン育成の鍵とは」を開催し、大変多くの皆さまにご参加、ご好評を頂きました。本記事では、北部九州・山口を中心に64店舗のホームセンターを展開する、株式会社グッデイ代表取締役社長 柳瀬隆志氏による「ファンを増やす『グッデイ流』デジタル活用術」の内容をご紹介致します。
本セミナーの内容について更にご興味がある方へ向け、動画アーカイブの配信もご用意しております。是非ご覧ください。
共催:メグリ株式会社、クラスメソッド株式会社、プリズマティクス株式会社
目次
1.2015年から「データ分析」の習慣を社内にインストール 2.POSデータ分析の蓄積に、ID紐付け会員データをプラス 3.お客様との関係性をつくる“販促”を心がける 4.データ分析と現場感覚の掛け合わせで、お客様とのつながりをつくっていく1.2015年から「データ分析」の習慣を社内にインストール
グッデイは北部九州・山口を中心に64店舗のホームセンターを展開しており、創業1978年という歴史ある企業です。2022年には、日本のDXを加速させる取り組みを行っている企業として、第1回 日本DX大賞大規模法人部門で大賞を獲得し注目を浴びました。
しかし柳瀬氏が入社した2008年当時のデジタル活用の状況は全く違い、「インターネットにも繋がっていない状態で、誰もメールアドレスを持っていないような状態でした」と、柳沢氏は振り返ります。社内のシステム担当は1名のみで、新たに何かを始めるのが非常に難しい状態であったと語ります。
「転機となったのは2015年です。クラウドのデータウェアハウスにデータを集め、Tableauで分析するという環境を構築したそうです。これをきっかけに業務改善やデータ人材の育成が出来るようになりました。今では、店舗スタッフが自分たちで、必要なダッシュボードを作成するまでになっています」(柳瀬氏)
グッデイでデータベースを活用するのは、エンジニア等のIT人材ではありません。現場スタッフ、つまり非エンジニアがデータベースを活用出来るように、データ分析やデータベースの教育を実施したそうです。データ活用に「現場の経験と勘」を掛け合わせる経営で、顧客と向き合う施策を進められていることが伝わってきます。
2.POSデータ分析の蓄積に、ID紐付け会員データをプラス
2015年にデータ分析環境を導入したグッデイが取り扱っていたデータとは、POSデータです。例えばレシートごとの売上を見て、どんな商品が一緒に買われているのか、というようなことは分かりました。
「レシートでの併売データなどを用いてクラスタリングしていると、だいたいお客様のタイプは4つに分けられるんじゃないかと考えていました。1つ目は“職人的”なお客様。工具や建材、接着剤や釘などを一緒に買われる方です。2つ目は、ペットフードだけを定期的に買って行かれる、ペットのオーナー様。3つ目は園芸のお客様。4つ目は色々なものを雑多に買って行かれる方です」(柳瀬氏)
これらの分析結果はこれまで、店舗の商品配置等の検討に活用するなどしていました。ただ、POSデータにはIDが付いていなかったので、顧客ごとの購買については分からないままでした。最近、LINEミニアプリで会員カードをつくりまして、IDデータと購買履歴を紐付けて、購買とPOSを結びつけて分析が出来るようになりました。
2020年から開始したLINEミニアプリの会員登録は、2023年6月現在、約38万人となっているとのこと。本格的なデータ活用はこれからと語る柳瀬氏ですが、これまで培ってきたPOSデータ分析の蓄積と組み合わせることで、購買行動の理解の解像度を上げ、顧客一人一人の需要やライフスタイルや視野に入れた取り組みを進めて行ける、と考えておられるとのことです。
3.お客様との関係性をつくる“販促”を心がける
2022年に、紙の販促をほぼ辞めてデジタルシフトしたグッデイ。2008年頃はチラシを配布した週としない週で、売上が1〜2割も変わっていたそうですが、このチラシ配布数と売上データの分析、また新聞購読者数等のオープンデータなどを組み合わせによって、チラシに代わるコミュニケーション施策に取り組むことを、判断したとのことでした。
「またチラシの場合、効果検証も難しいことがありました。配布したチラシを実際に誰が手に取って読んでいるのか、というデータが得られません。お客様との関係性を継続的に考えていくにあたっては、デジタル化していくことがいいだろう、ということがありました。顧客の購買データがあれば、必要な方に必要な情報をお届けすることが出来るようになります」(柳瀬氏)
LINEミニアプリを利用した販促を行うだけだけでなく、アンケートを取るなど双方向のコミュニケーションを進めているグッデイ。Instagramアカウントの運用では、顧客から送られてきたペット動画をCMにするなどの“共同作業”を行っており、注目を集めています。九州在住者以外や、これまで来店する機会の無かった方からの認知も伸びているとのこと。
4.データ分析と現場感覚の掛け合わせで、お客様とのつながりをつくっていく
グッデイの今後のデータ活用の展望について、柳瀬氏はプラットフォームの整備の必要性を感じられているとのこと。販促だけでなく、店頭接客にもデジタル活用を広げたり、ECからも発注し易くするなど、顧客とスタッフ両者の利便性に配慮した施策について現場の声も交えてお話し頂きました。
また、データサイエンスや統計的な観点での経営を重要視する一方で、リアル店舗運営がある強みを生かし、お客様とのつながりについて大事にしていきたいと語ります。
「お客様には多様な選択肢がある中、『選ばれる』というのは凄いことだな、と常々思っているんです。私は前職で商社におりましたので、余計にそう思うのかもしれません。グッデイ入社後1年間は私も店頭に立っていたのですが、お店を開けているとお客様がいらしてくれて、去年の同時期と同じような商品が同じように売れていく。ついこれを当たり前のように思ってしまいますが、実際にはお客様の細かい気持ちの揺らぎというものがあると思います」(柳瀬氏)
利便性だけではなく、お客様との心理的なつながりを大切にすることで“選ばれる”企業へと施策を進めるグッデイ。本セミナーの様子は、プリズマティクスの「動画閲覧」にて全編を無料アーカイブ動画として配信中です。下記動画閲覧ページよりお申し込み頂き、ご覧ください。プリズマティクスは今後もデジタルを活用した顧客接点の取り組みやファン育成などをテーマに、課題解決となるようなヒントやアイデアをご紹介していきます。ご注目ください。
「the engagement commerce platform for wow! experiences」をコンセプトに、小売業における顧客エンゲージメント向上の支援、戦略的OMOを実現するプラットフォーム提供を行うプリズマティクス株式会社が運営する、オウンドメディア『プリズマジャーナル』編集部。
『プリズマジャーナル』では、プリズマティクスで活躍するコンサルタントが執筆するコラム「徒然ジャーナル」、業界の先端を走り続けるプリズマティクスアドバイザーからの寄稿文など、小売業の皆様に向けて伝えたいこと、耳寄りな情報などをお送りします。
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