プリズマジャーナルTOP「Sanrio+」で作り上げる顧客体験、ファンに寄り添う「絆」づくり ~10/18開催オンラインセミナーレポート~

「Sanrio+」で作り上げる顧客体験、ファンに寄り添う「絆」づくり ~10/18開催オンラインセミナーレポート~

株式会社サンリオは、2020年7月にスマホアプリ「Sanrio+(サンリオプラス)」をリリースしました。ポイントである“スマイル”をためると、“サンリオらしい体験”と交換が出来る会員・ポイント制度が特徴です。サンリオファンのことをよりよく理解するためのプラットフォームとして活用され、その行動データは更なる良質な“サンリオ体験”の施策に活かされています。

プリズマティクスは10月18日、メグリ株式会社、クラスメソッド株式会社との共催にて、LTVを向上のためCRM強化を検討されている担当者の皆様に向けたオンランセミナーを開催。株式会社サンリオ グローバル・デジタルマーケティング本部 CRM推進部部長 田口氏をお迎えし、「Sanrio+」の施策について詳しくお話を伺いました。

本記事では登壇者セッション内容をご紹介、併せて“見逃し”してしまった方へ向け、動画アーカイブ配信をご案内します。

1.「One World, Connecting Smiles」を軸に、“サンリオらしい”体験をファンに提供

「Sanrio+(サンリオプラス)」は、リリースより2年で120万超の会員を抱えるスマホアプリとなりました。“サンリオらしい体験”とは何か、“サンリオらしいかわいさ”とは何か、突き詰めて考えた結果が凝縮されており、“かわいさ”の詰まった設計がファンからも支持され、アプリのアクティブ稼働率は高水準を保っています。

「サンリオファンの喜ぶ施策が元々良く分かっていたからではないか」と思ってしまいがちですが、サンリオらしい“かわいさ”をどうアプリに落とし込むのか、非常に苦労して考えたと田口さんは言います。

「サンリオはもともとライセンスアウトしてしまうビジネスが多く、その先にいらっしゃるお客様の姿はなかなか見えない状況がありました。直営店舗などからの購買データやサンリオピューロランドなどの来客データなど、顧客接点は増えていっても、それぞれが紐づかない為に、やはりお客様のことを理解するのは難しかった。もっとサンリオファンを理解したい、そのためのプラットフォームをつくれないか、と考えていた時にプリズマティクスさんと知り合ったんです」(田口さん)

田口さんの悩みを伺ったプリズマティクスCEO濱野が、当時描いた1枚のコンセプトシート。ここには“スマイル”を中心としてサンリオ体験を楽しむことができる「カスタマーエンゲージメントプラットフォーム」のイメージがありました。これがまさに、現在の「Sanrio+」につながっていることを、田口さんは語ってくださいました。

「Sanrio+(サンリオプラス)」導入にあたっての課題感とリリースにあたってのエピソードは、プリズマティクス事例記事(2021年8月取材)にて詳しくお伺いしておりますので、併せてご参照ください。(事例記事「顧客情報の一元化により、全ての顧客接点を跨いだ 「サンリオ体験」の実現」

「『Sanrio+』の施策のうち、ファンの皆様からご好評いただいているひとつが、全21キャラクターから“選べる”会員証です。元々このプラットフォームをつくった目的は『お客様のことを理解したい』ということ。皆さんがどのキャラクターを選んで、肌身離さず身に付けていただいているか、知ることが出来るようになりました」(田口さん)

「Sanrio+」で貯めたポイント“スマイル”は、購買時の値引きではなくクーポンに変える設計になっているのも、本プラットフォームの特徴です。サンリオのイベント申し込みや、サンリオピューロランドの優先入場、サンリオカフェで利用できる限定クーポン、また支援団体に寄付など、“サンリオらしい体験”を提供することで、ファンの心を掴み続ける努力をされています。

「最近では、クーポン利用時の消し込みを電子スタンプで出来るようになりました。かわいい印影がデザインされているので、ファンの皆様にとても喜んで頂いています。どのお店でクーポンを利用したのか分からない、という課題もこれで解消しました。この電子スタンプを利用しスタンプラリーを実施していますが、大変ご好評頂いていて、アプリ利用は加速しています」(田口さん)

2.2つのプラットフォーム「prismatix」「MGRe」を採用し、柔軟性ある構成に

田口さんに続き、「Sanrio+(サンリオプラス)」導入時にコンサルタントとして伴走したプリズマティクス シニアコンサルタントの金子、そしてアプリプラットフォームを提供したメグリ Product Divisionプランナー 篠田氏も登壇。それぞれの視点から、「Sanrio+(サンリオプラス)」の特徴や、小売業の皆様にご注目頂きたい点についてお話しさせていただきました。

「ECをエンゲージメント・コマースとして、お客様と企業の絆を深める体験の場を提供したい」という思いから設立されたプリズマティクスでは、OMOシステムを実現するための「prismatix」、OMOやCRM実現のために支援して欲しいという希望に応える「伴走型コンサルティング」を提供しています。

サンリオは、複数の顧客接点をつなぐ会員・ポイント基盤を構築するため、APIプラットフォーム「prismatix」を採用。現在「Sanrio+」を軸に、サンリオショップ、サンリオピューロランド、サンリオオンラインショップ(EC)をつないでいます。

またアプリ「Sanrio+」はゼロからのスクラッチではなく、メグリの提供するオムニチャネルアプリプラットフォームMGRe(メグリ)を採用しています。本プラットフォームでは、ニュース、クーポン、店舗、アイテム、会員証など、オムニチャネル実現のための機能が揃っているプラットフォームとなっています。ところが、「Sanrio+ではこれらの機能をほとんど使っていない」とメグリの篠田氏は明かします。

「サンリオ様には、プラットフォームとして共通化しているシステム構成の部分、アプリ基盤としての価値を評価頂き、ご採用頂いているという理解をしています。非常に変わったかたちでご利用頂いている事例だと思います。実は、MGReは“パッケージ”として提供してはいますが、カスタマイズやシステム連携を非常に重要と捉え、柔軟に対応出来るよう元来より設計してきました。そこを評価いただいて採用いただけているのは、非常に嬉しいです」(篠田さん)

3.今後も“サンリオらしい体験”を提供し続けるために、データ取得と分析が必須

セミナー後半では、「『Sanrio+』導入後2年を振り返る」と題し、登壇者の3名にてパネルディスカッションを行いました。アプリ導入から2年経過した「Sanrio+」ですが、ファンへより良い“サンリオ体験”を提供するため、試行錯誤は続いています。導入を担当したメンバーが集った場であるからこそ、リアルな現場の悩みと喜びのエピソードが次々と飛び出す場となりました。ここでは、パネルディスカッションでの話題の一部をご紹介します。

・コロナ禍真っ只中、店舗にお客様が足を運べない中でアプリをリリースすることになった不安と工夫
・リリース後にファンから評価頂いた部分、喜んで頂いた声などを紹介
・サンリオピューロランドでのサンクスパーティ、サンリオデザイナーのサイン会など、ファンに喜んで貰える企画を次々に実施。
・サンリオ最大の“お祭り”である「キャラクター大賞」投票もアプリを活用
・既存のポイント会員制度からの完全移行に際して、お客様との絆が途切れないよう苦心した

システムに関しては、これまでバラバラだったシステムが統一されたことでバックヤードシステムのコスト効率が上がったこと、そして対応の柔軟性について、大きな評価を頂きました。

「MGReのパッケージとしての堅牢な部分と、柔軟に追加仕様に応えられるprismatixのAPI構成は、サンリオに非常にフィットしていると思います。顧客の要望が目まぐるしく変化していくこの時代においては、フルパッケージ、フルスクラッチ、いずれであっても、サンリオの求める柔軟性やスピード感に対応するということは難しかったと思います」(田口さん)

今後もクーポンや“サンリオらしい体験”を企画し続けていきたい、と語る田口さん。キャラクター大賞の投票データや、イベント参加、店舗来店のデータなどの具体的な数字を開示いただきながら、サンリオファンの実際の行動を共有いただくという、貴重な機会となりました。

「お客様の行動が数字で見えてくるようになると、自分たちがどこにリソースを割いていくべきなのか、決められるようになるんですね。今は、店舗に足を運んで頂くのと同じくらい、アプリを利用して頂くことには価値があるのではないかという仮説を持っているんです。いかにアプリ利用率を高めか。これが一番の課題です」(田口さん)

本セミナーの様子は、プリズマティクスの「動画閲覧」にて全編を無料アーカイブ動画として配信中です。田口さんが「コロナ禍の厳しい状況の中、ファンに楽しんでもらおうと悩み考え続けたサンリオの取り組みが、今、実ろうとしています」と語る、その詳しい内容について、下記動画閲覧ページよりお申し込み頂き是非ご覧ください。

プリズマ編集部

「the engagement commerce platform for wow! experiences」をコンセプトに、小売業における顧客エンゲージメント向上の支援、戦略的OMOを実現するプラットフォーム提供を行うプリズマティクス株式会社が運営する、オウンドメディア『プリズマジャーナル』編集部。

『プリズマジャーナル』では、プリズマティクスで活躍するコンサルタントが執筆するコラム「徒然ジャーナル」、業界の先端を走り続けるプリズマティクスアドバイザーからの寄稿文など、小売業の皆様に向けて伝えたいこと、耳寄りな情報などをお送りします。

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