プリズマジャーナルTOP“お願いする”は、“コミュニケーションする”ということ 〜プリズマの愛され社長“濱野さん”インタビュー!
“お願いする”は、“コミュニケーションする”ということ 〜プリズマの愛され社長“濱野さん”インタビュー!

“お願いする”は、“コミュニケーションする”ということ 〜プリズマの愛され社長“濱野さん”インタビュー!

戦略的OMOを実現するプラットフォーム「prismatix」とコンサルティングサービスを提供する、プリズマティクス株式会社。オウンドメディア『プリズマジャーナル』では、社長・濱野へのインタビューシリーズを連載中です。

本記事は、“仕事”に関する社員からの質問をきっかけに、濱野さん流仕事術についてお伺いしたインタビューの後編にあたります。今回は、濱野さんが大切にしている「お願いする」「説明する」「理解してもらう」について、具体的な内容を伺いました。

1.細やかなコミュニケーションが、“お願い”の負担を軽減する

── 前回のインタビューで、濱野さんは仕事の上で「人にお願いする」ということを意識的にされていると伺いました。「お願いする」時に心がけておられることを教えてください。

濱野:関係性によって違うとは思うのですが……頼むのが初めて、という関係性の相手だったら、頼んだ翌日に進捗を聞いたり、困っていることが無いかコミュニケーションしますね。進んでそう、進んでなさそう、手伝った方がよさそうということを細かく判断することが大事です。

関係性が出来てくれば「またお願いします」という一言で想定通りのものが出てくるようになるかもしれないですけど。でも、どんなに関係性が出来ても、他人は他人。任せておいてそのまま……なんてことでは、うまくいかないと思っていた方がいいと思います。

プリズマティクスのようなエンジニアの多い会社では、コードレビューを始めとした「レビューのお願い」をするシチュエーションが多いように思います。レビューをお願いする時には、気をつけるべきポイントや、どうしてその人にお願いすることになったのか、ひと言コミュニケーションがあるだけでも、効率は良くなると思います。

例えば、GitHub上で自分がつくったプログラムの、プルリクエストのレビューをして欲しい時ってありますよね。その時、1箇所だけの修正でも全体にインパクトがあるような場合もあれば、大量の修正をしていても内容的にはコピーしているだけだったり、その部分だけ動けばいい、影響範囲が狭い場合というのもあるかと思います。

依頼する側からレビューして欲しいポイントを相手に伝えたり、レビューする側の得手不得手を考慮しながら、一人だけではなく複数人にお願いするなどすれば、レビュアーの負担が軽くなるのではないかと思います。

もし“お願い”がうまくいかない時も、失敗を踏まえて、次はどうやって頼もうか考えればいいんです。その“お願い”が、相手にも利があるようなかたちで渡せるように出来れば、一番良いですね。僕は、それをずっと訓練をしてきているように思います。

2.具体的な内容を目の前にしないと、人は動けない

濱野:上司から部下にお願いする、部下から上司にお願いするという以外に、社外の方にお願いする、ということもあると思います。僕の場合は、共有しているプレゼン資料に、具体的に「○○さん、最終確認お願いします」など、お願いの内容をスライドに書いてお渡ししています。

── すごく、“お願い”が具体的ですね。

濱野具体的じゃないと、人って反応出来ないんです。イメージが無い、存在していないものには意見が言えないものなんですよね。ですから、まずはそういうのをつくる、ということです。ただこれはあくまで仮説ですから、最終確認をお願いしていく。

僕はだいたい、ミーティングの前に、決めなきゃいけないことは何か、そこに至るためのディスカッションの進め方、何故その進め方にするか……そういうアウトラインを書いてからミーティングに臨みます。もしアウトラインを書いていて「これを決めなきゃ次に行けないな」ということがあるんだったら、調整をお願いしてしまってミーティングに臨む。

それを心がけるようになってからは、ミーティングの回数、時間が減ったり、あるいは資料をつくる時間がぐっと減りました。最初に前後関係が全部書き出してあるので、プロダクト開発時の調整がうまくいくようにもなりましたね。「この程度の定例で、この内容をこの順番で決めていけばいいよね」という共通理解が得られれば、皆さん検討のための時間も確保し易くなります。

── こういう資料づくりというのは、コンサル会社時代に叩きこまれたのでしょうか。

濱野:それはもう、徹底的に訓練させられます。コンサルで叩き込まれるのは、「いかに相手に、伝えたいことを伝えるか」ということです。同じ資料を提示しても違うように受け取られてしまうことってありますよね。1スライドで1メッセージ。僕のスライドもそうなっていると思います。

テクニック的なところでは、注目させたいところを目立たせるために、色数は少なくする、ということを意識しています。基本的にモノトーンで統一して、注目してもらいたいところだけ赤にする、というような感じですね。だから資料は地味ですよ。

コンサル時代と比べると、今の方が、事業主側が欲しい資料がつくれるようになったとは思いますね。ずっと試行錯誤してやってきて、ここに辿り着いた、という感じです。

3.間違っていても粗くてもいい、アウトラインを描いてみよう

濱野:一つの例として、僕が最近、キックオフミーティングに向けてつくった資料の概要を紹介しましょうか。

「○○○○施策検討に関するコンサルティング及び要件定義キックオフ」
・コンサルティングと要件定義の背景
・想定スケジュール(キックオフからプロジェクト終了まで)
・今月の検討スケジュール案(会議開催日程と検討内容の項目出し)
・想定する検討対象施策(20項目程度の案出し、想定する重み付け)
・1ヶ月後に提出が求められている施策ドキュメントの内容イメージ
・体制図(ボードメンバー、現場担当者などの指示系統を図示)
等々…

濱野:全部で10スライド以上あります。キックオフミーティングって「さあ今日がキックオフなので何やるか決めましょう」というミーティングをやりがちだと思うんですが、キックオフの時点で何やるかを既に決めて臨む、ということなんです。その上で、忘れているものを伺ったり、もっとウェイトを高くして欲しいことを聞いていくという進め方をしています。

アウトラインから始めないでディテールから始めてしまうと、ドツボにはまってしまいがち。まずはゴールの確認をして、それからディテールですね。これは何についてでも言えると思います。でも、なかなか皆、アウトラインを書かないんですよね……「書けない」というよりは「書かない」という気がする。何故なんだろう。

── 「中途半端なものを書くより、ヒアリングして“ちゃんと”書こう」と思ってしまうのではないでしょうか。

濱野間違っていてもいい、粗くてもいいので、まずは仮説が入った全体フロー、アウトラインを書いてみて欲しいですね。それを見ながら相手に「忘れてること、ありますか」って、聞けばいいんです。パソコンに向かっても何も出てこない時は、手描きでもいいと思います。手描きの方が全体構造は描きやすいかもしれないですよ。

── 社内外問わず「濱野さんが(アウトラインやイメージを)ササッと描いてくれた」というような声を聞くことが多いです。

濱野僕も、最初から出来たというわけでは無いですよ! 若い頃は説明するのも下手で。コンサル時代は上司から「オマエの言ってることはわからない」と何度も一刀両断にされて……炭になって跡も残らないんじゃないかって思うくらい(笑)。

落ち込んだり悩んだりもしましたが、ひたすらそのフィードバックに対して地道に食らいついていっただけですね。直し続けていったから、今があるというか……そこはもう、繰り返すということしかないと思います。「コレで良かったんだっけ」と。

4.相手の意見を聞かせて貰い易い関係性、健全に意見を交わせる関係性を目指して

── 今回は、沢山の具体的な仕事術や心構えを教えて頂き、ありがとうございました。

濱野:たいしたこと言ってるとは思えないんですが(笑)。今日話したことは、コンサルとか資料どうするかというより、「人が分かるように説明する」「コミュニケーションする」ということはどういうことなのか、という観点になってくるかもしれません。

例えば資料に“YouTuber”って単語を入れていたとして、相手がYouTuberを見たことも聞いたこともなかったら、それはどれだけ妥当な表現でも理解して貰えない。相手の言葉で喋る、ということまで出来れば、一番いいですよね。決して「忖度する」とかそういうことではなくて「相手が受け入れやすい言葉にする」ということです。

それは社内でも同じです。複数のチーム同士がやりとりをする時に、どんなことを気にしているのか、どういうことを考えているのか、急ぎなのか急ぎじゃないのか、そんなことをひと言を伝えるだけで、全然違ってくると思うんです。

「こう思うけど、どう?」と提示して、相手の意見を聞かせて貰い易い関係性、健全に意見を交わせる関係性で、仕事が出来たらいいなと思っています。

(取材・構成・文=プリズマ編集部)

濱野 幸介

【プロフィール】
濱野 幸介
CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)

アクセンチュア株式会社、株式会社リヴァンプ、株式会社良品計画を経て、現職。
クラスメソッド株式会社 マーケティング・テクノロジー担当を兼務。
良品計画では、アドバイザーとして「MUJI passport」の立ち上げなどマーケティング活動全般を技術面より支援。

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