
リアルとデジタルの融合で、新しい顧客体験を提供する「D2C」の取り組み [今月の注目ニュース]
小売り×DXの気になるニュースを、リテール業界の現場経験が豊富なプリズマティクスのコンサルタントが毎月チョイスしてお届けする「今月の注目ニュース」。
今月はシニアコンサルタントの金子が、「D2C」「リアルとデジタル」「新たな顧客体験」などをキーワードに注目したニュースをチョイス! 日々、小売りDXの課題に向き合う実務家の視点から、コメントを交えて業界の潮流をご紹介します。
目次
1.GO WITH WHITE、EC×リアル店舗で新たな顧客体験を提供 2.象印、マイボトルを通じた顧客との接点を模索 3.ユーザー起点行動マーケティングで「ありがとう」「応援」に繋がるYAMAP 4.まとめ1.GO WITH WHITE、EC×リアル店舗で新たな顧客体験を提供
●白スニーカー特化のD2Cブランド「GO WITH WHITE」が、ポップアップストアを開催
●目標額の2倍以上を売り上げ、9割以上がリペア、カスタムの出来るサブスクプランに加入
●常設店のオープンも視野に入れ、顧客体験のさらなる向上を目指す
白スニーカー特化の「GO WITH WHITE」(以下、GOWW)が初めて、ポップアップショップを展開し、話題になりました。注目したいのは、このポップアップストアが単なる販売の場ではなく、今後のブランド展開に向けた情報収集の場となっていることです。店内に設置されたカメラで来店者の層や行動を計測、分析したりという、リアル店舗ならではの情報収集が行われました。
また、店舗での会計フローはECと紐付けており、GOWWサービスへの会員登録がされるのもユニークな点です。リアル店舗経由での顧客ともオンラインで継続的な接点を持てるだけで無く、サブスクサービス訴求も容易にできます。ノベルティ配布のトリガーにLINE公式アカウントを活用するなど、オンラインとリアルの融合を意識した導線づくりをしています。
D2Cブランドにとって、リアル接点だからできることは何なのか。単なる“リアル店舗”ではなく、次のステップに繋げる“何か”を考え、実践することが求められています。
2.象印、マイボトルを通じた顧客との接点を模索
●象印が「店舗でマイボトルを預かり、洗浄・保管して、飲料を入れて渡す」サービスの実証実験を開始
●マイボトルの所有率は7割を超えるが、日常的に使用しない人が半分以上
●同サービスをきっかけに、マイボトルの継続利用や利用者増を狙う
象印マホービン(以下、象印)がスタートした「ZOJIRUSHI MY BOTTLE CLOAK」は、顧客への「販売」ではなく、「繋がる」を目的としたサービス展開となっているのが特徴です。「D2Cブランド」が立ち上げたビジネスではなく、既に一般に商品が流通しているメーカーが模索する「D2C事例」となっています。
象印は、これまで小売や卸を経由してマイボトルを販売してきていますので、既存の取引先との関係を考慮したのでしょう。直販という選択ではなく、顧客とのコミュニケーションを通じて、マイボトルの利用率を向上することを目的としているように読み取れます。
一般流通メーカーの立場からも、顧客に対してダイレクトに働きかけ、所有者が感じている様々な手間を解消することは出来ます。この取り組みにて市場拡大を図ることが出来れば、小売や卸といった既存の取引先も含めた成長に繋げることが出来るでしょう。
3.ユーザー起点行動マーケティングで「ありがとう」「応援」に繋がるYAMAP
●登山地図アプリYAMAP(ヤマップ)の提供するサービスの本質は“登山者SNSコミュニティ”
●ユーザーを“行動”を最速で把握、独自視点で分析、結果“ある商品”が大ヒット
●登山者を同じ山に3度向かわせる、YAMAPが仕掛けるストーリーづくり
国内登山人口の約4割、300万以上のダウンロード件数を誇る登山地図アプリサービスYAMAP。登山やアウトドアの愛好家とYAMAPがアプリで繋がることにより、ユーザーから「ありがとう!」と言われるほど、一人一人に寄り添ったかたちでサービス提供している企業です。
動画閲覧のお申し込みを頂ければ、株式会社ヤマップ・コミュニケーションデザインマネージャーの小野寺洋氏と、株式会社顧客時間・共同CEO/代表取締役の岩井琢磨氏による特別対談を見て頂けます。
ユーザー、行動データ、利用している商品、サービス利用の場などと、ダイレクトにつながることでアクティブなデータを取得し、独自の視点から分析しています。これがユーザーのライフスタイル全体の充実や、求められるサービス提供をタイムリーに行うことにつながっていることが、分かって頂けると思います。
単に商品やサービスによる価値提供だけではない、「顧客と直接つながることの本質」とは何か、それを考えさせられる事例となっています。
4.まとめ
企業と顧客との双方向コミュニケーションの手段が多様化し、デジタル上でのファン獲得の機会はどんどん増えてきています。また、コロナ禍の影響により大手メーカーによる自社ECの拡充も大きく広がったことが要因で、D2Cの導入や立ち上げもトレンドとなっています。
その一方で「D2C」というと、メーカーが従来から取り組んでいる直販サイト、リアル店舗を持ったECのこと、と捉えられがちな面もあります。
今回取り上げた事例では、商品の購買だけでなく、購買前の「選択」や購買後の「使用」など、リアルとデジタルの2つの場を組み合わせ、新たな顧客体験をつくり上げていました。様々なタイミングでの顧客接点を考え、総合的な体験を設計する必要性は、今後ますます求められて行きそうです。
(構成・編集=プリズマ編集部)
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執筆者プロフィール
金子 傑
シニアコンサルタント
2000年イオングループのミニストップ入社。システム部⾨にてECサイト、DWH、商品マスタ等のPMを担当。2011年以降はシステム部門を離れ、九州営業部長、社長室長、サービス・デジタル推進部長、マーケティング部長等を歴任。2018年11月にクラスメソッドに参画。OMO/EC、CRMを中⼼に、事業戦略から業務設計、PMまで幅広い領域を担当。
【支援実績】
OMO/EC:アンファー、グラニフ、⼤⼿スーパー、雑貨⼩売店(戦略策定、業務設計)、大手生活用品メーカー(D2C)等
CRM:サンリオ、大手アパレル(会員制度設計)等
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