プリズマジャーナルTOP“キラキラした顧客体験”をつくりたい! が原動力、プリズマティクスのこれまでを振り返る〜プリズマの愛され社長”濱野さんインタビュー!〜

“キラキラした顧客体験”をつくりたい! が原動力、プリズマティクスのこれまでを振り返る〜プリズマの愛され社長”濱野さんインタビュー!〜

# エンゲージメント # prismatix # エンゲージメントコマース # 顧客体験

プリズマティクス株式会社は2016年に設立し、2022年現在6期目となります。戦略的OMOを実現するプラットフォームを提供することで、小売業における顧客エンゲージメントを向上するお手伝いをさせていただいています。

2022年9月、プリズマティクスはオウンドメディア『プリズマジャーナル』を立ち上げました。これをきっかけに、社員から社長・濱野へ直撃インタビューするシリーズを開始しました。初回となる今回は、プリズマティクスの“これまで”について、改めてじっくり語って頂きました。

1. フロントエンドとバックエンドを“ちゃんと”繋ぐプラットフォームをつくりたい

── プリズマティクス設立のきっかけを教えてください。

濱野:具体的なきっかけとしては、2015年くらいから良品計画さんから「フロントエンドとバックエンドをちゃんと繋いであげる仕組みをつくっていきたいんだけど、出来るかな?」と相談を受けて、ご一緒させて頂いていたことがありますね。

良品計画は2013年5月に「MUJI passport」をローンチしました。2013年あたりって、日本でスマホ普及率が40%を超えた時代なんですよ。“ガラケー”と言われる、いわゆる「携帯電話」がまだ残っているような時期ですね。そのタイミングで良品計画は「スマホアプリで会員証を表示すれば、紙の会員証は持ってなくてもOK」という方針に、舵を切ったんです。

2015年というのは、そこから更に2年経って、スマホが完全に普及したタイミングでした。モバイルアプリの運用が外せないのは勿論のこと、SNS、オウンドメディア、ネットストア、各種モールへの出店など、あちこちにコンテンツが出ている状態になってきた。

他にも、お店の在庫を事前に押さえておいて、店頭で受け取れるように依頼する、モバイルオーダーというような仕組みがウェブで出来るようになったりした時期ですね。今ではもう当たり前の光景になっちゃって、皆さん忘れてるかもしれないけど(笑)、こういうことがボタンひとつで出来るようになってきたのは2015年あたりなんです。

その時期、小売りのバックヤードの仕組みとしては、物流、POS、商品管理、在庫管理…多数のシステムが乱立して、複雑に絡んでいる状態でした。良品計画さんの「フロントエンドとバックエンドをちゃんと繋ぎたい」という希望は、一見とてもシンプルなんだけど、実は“ちゃんと”やろうとすると、とても難しいことなんですね。それまでも小売業界では、これを実現しようと様々な挑戦がされて、難しい仕組みや技術がいろいろありました。ただ、うまくいっていなかった。

2015年頃になると海外では、自社アプリでサービス展開するだけでなく、開発者にAPIを提供し始めていて、この流れがスタンダードになりつつあった。AirbnbやUberあたりがソレをしているのを見ていたので、「フロントエンドとバックエンドを繋げる仕組みとして、APIベースの仕組みがあったらいいよね」と考えたんです。更にその仕組みを、当時普及し始めていたクラウド基盤でつくれば皆嬉しいんじゃないかと思った。

これが今の“prismatix”というAPIプラットフォームが誕生した背景になっていて、会社を設立することになりました。

2.  “prismatix” は、ブランドと顧客のエンゲージメント基盤

── 濱野さんが「プリズマティクス」として目指したことは?

濱野:やりたかったのは、EC売上を伸ばすとか、顧客数を伸ばすところではなくて、ブランドと顧客の関係性を拡張すること。当時は「ブランド体験の“拡張”」という言葉で定義しました。

小売店の持つ「モノを仕入れて売る」という基本的な機能に留まらず、店舗のある“地域”に対して、お住まいの方々に対して、小売がどのように貢献していけるのか、貢献していく方法を模索したい、というのが、根っこにある課題意識ですね。

テレビCMでセール期間の広告をドンと出して、1億人視聴者の3%のお客様に来て頂くということではなく、100万人のブランドファンをつくって、ファンの方々からそれぞれ3人のお客さんを紹介して頂けたら、というような方向性とも言えます。

顧客の「ブランドに参加する」という体験を、楽しい、キラキラとプリズマのように光らせて欲しい。真剣に顧客の「キラキラした体験」をつくりこむことをしたいと考える事業会社さんを応援したいですし、そのための基盤をテクノロジーから支援したい。「プリズマティクス」という会社の名前に、「プリズム」「テック」というワードを用いることで、その想いを込めました。

── 社名とロゴの意味が、ようやくわかりました!

濱野:長く良品計画さんとお仕事させて頂く中で、「土着化」「地域に根付いたお店」「愛される店舗となりたい」というところを常に考えられているところに影響を受けているところは、多分にあると思います。

例えば、千葉・鴨川の野菜がすぐ届く仕組みをつくったり、MUJIで買った服を下取りに出すことが出来たり、その下取りに出した服が糸に戻って、また製品になる仕組みなど、無印良品ブランドと顧客のエンゲージメントを高めるための取り組みを、昔から色々模索されているんです。

プリズマティクスを立ち上げた時に、こういうことも含めた意味で「ブランドの体験価値を深める」「拡げる」ということをイメージしていました。購買者が、ただ消費者としてブランドに関わるだけでなく、ブランドに“参加”するということができるといいなと。「ファンになってもらう」ということでもありますね。

コマースの基盤ではなくて、顧客とのエンゲージの基盤となりたい。これが大元にあった発想です。

3. 「エレクトリックコマース」から「エンゲージメントコマース」へ

── プリズマティクスでは「EC」という言葉を「エンゲージメントコマース」としていますよね。この経緯について教えてください。

濱野:プリズマティクスで「エンゲージメントコマースアドバイザー」を務めてくださっている奥谷さんが、「エンゲージメントコマース」という言葉をつけてくれたんです。奥谷さんは、MUJI passportの責任者だった方で、良品計画で働いている中で、自然とそういう考え方になったというところはあったと思います。プリズマティクスとしては、API基盤の提供をするだけでなく、クライアント企業さんの「エンゲージメントコマースを支援する」という視点でコンサルとしてもお仕事をさせていただくことが多いですね。

プリズマのコンサルは小売事業会社出身者が多く、アイディア出しや発想は拡散させて自由に考える一方で、現場業務や小売や飲食の業界慣習を踏まえた上での提案をさせていただくという、地に足が付いたコンサルティングが特徴なのではないかと思います。

事例記事として出させていただいている、アンファーさん、スターバックスさん、サンリオさんなどの事例を見て頂けると、コンサルメンバーがクライアント担当者に伴走している様子を感じて頂けるのではないかと思います。

現場ヒアリングから始めて、事業計画、稟議書をつくる時のアドバイスを行い、実際に「やる」と決まった後には、システム開発ベンダの調整や、仕様調整を担うこともあります。実際にお客さんの立場になって業務を伴走できる、というコンサルメンバーであるところが、クライアント企業さんから求められている役割として大きいように感じています。

濱野 幸介

【プロフィール】
濱野 幸介
CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)

アクセンチュア株式会社、株式会社リヴァンプ、株式会社良品計画を経て、現職。
クラスメソッド株式会社 マーケティング・テクノロジー担当を兼務。
良品計画では、アドバイザーとして「MUJI passport」の立ち上げなどマーケティング活動全般を技術面より支援。

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